隔測自記雨量計からのリアルタイム処理による降雨データ観測装置を鹿児島高専において設計・開発を行った。現在、降雨期における降雨量と土石流流量の現地観測を実施中である。一方、現地火山灰を用いた室内実験を行い、土石流の発生限界モデルの検討を行った。建設省・鹿児島県より別途収集した降雨及び土石流観測資料はパソコン(PC9801)及び九州大学大型計算機センターにデータ入力し、土石流の発生・流出過程・流出規模の予測に関する数値モデル作成を行った。本モデルは次年度において観測収集された大量の数値データを用いて、数値シミュレーション実験を重ねることにより、現地火山地域における土石流発生の予知及び防災対策基準を与えることができるものと考えている。 さらに、火山性地震・爆発・上層風の風向風速・降灰量・降雨量・土石流流量・土石流流出量などの日時系列データを収集し、その因果関係について知見を与えることができた。 土石流の大きな要因となる新規火山灰については、その堆積量の予測モデルを作成するために、桜島河川流域・大隅半島及び鹿児島高専に降灰観測所を設置し収集した。火山灰の放出・拡散状況を昼間・継続的に観測し、VTRカメラによるビデオデータを収集した。平面的な拡散状況については、地球観測衛星(LANDSAT-4・5)を用いた火山灰飛散に関する既往の撮影画像データをMSSテープ及び8インチフロッピーデーターとして収集し、画像解析を実施した。その結果、風向頻度で基準化した降灰量を画像の輝度レベルに関する関係式を与えることができ、次年度予定のリアルタイム処理による降灰量予測及び土石流規模の予測法の基礎資料を与えることができた。
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