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1986 年度 実績報告書

癌進展の制禦に働く生体内機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 61010064
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

藤田 晢也  京府医大, 医学部, 教授 (00079716)

研究分担者 土橋 康成  京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (50106390)
坂倉 照よ  理化学研究所, 真核生物研究室, 主任研究員 (80073120)
村田 長芳  鹿児島大学, 医学部, 教授 (60020765)
中田 博  京都産業大学, 国土利用開発研究所, 助教授 (90113141)
田代 裕  関西医科大学, 医学部, 教授 (40077558)
キーワード人癌 / 進展 / aneuploidy / 印環細胞癌 / スキルス癌 / 癌浸潤の分子論
研究概要

私たちは、れまで癌進展の制禦に働く因子をヒトの胃癌と大腸癌について研究してきたが、本年度の研究において、胃の印環細胞癌で特に浸潤性が弱く進行の遅いタイプの早期癌とスキルス型の進行の速いタイプの癌に焦点をあてて追求した。その結果、
(1)進行の遅い印環細胞癌では癌細胞が粘膜固有層に浸潤しながらも、極めて正常に近いパタンで細胞回転が起っていることが分ったが、このメカニズムは細胞増殖が粘膜中層でのみ起り、その細胞は基底膜を介して間質組織と結合し、そこから上に出てくる細胞は基底膜を失ない、デスモソームもなくなるという現象によって説明されうることが明らかとなった。
(2)一方、同じ胃の印環細胞でも高度に浸潤性を発揮するスキルスを調べたところ、その癌細胞表面にはフィブロネクチンが減り、間質組織中の線維芽細胞と形質膜相互の接着が多く見られ、しかもレクチン染色でガラクトース残基に富む糖タンパクが増加していることがわかった。
(3)ガラクトース転移酸素に対する抗体を作製し、染色してみると、スキルス細胞がかなり特異的に免疫組織学的方法で染め出されることが分ったのでこの点を更に追求した。
(4)ガラクトース転移酵素に対するcDNAを作製することを試み、少くともその一部のコードをカバーするcDNAがえられた。これを用いる分析は進行中である。
(5)早期癌を含む多くの印環細胞癌の顕微螢光測光を行ったところ、スキルスの絶体多数の症例で核DNA量が3C近辺の異倍体となっていることがわかった。しかも癌の進行に伴って、gcディプロイドから3Cヘ変化してくる所見もえられた。これらの知見を総合して、癌細胞の浸潤性格の分子レベルの解析を試みる準備がととのったといえる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Sugihara,H.;Hattori,T.;Fukuda,M.;Fujita,S.: Virchows Arch.A. (1987)

  • [文献書誌] Hattori,T;Sugihara,H.;Fukuda,M.;Hamada,S.;Fujita,S.: Japn J Cancer Res.(Gann). 77. 276-281 (1986)

  • [文献書誌] Murata,F.;Suganuma,T.;Tsuyama,S.;Ishida,K.;Funasako,K.: J.Electron miscrosc.35. 29-37 (1986)

  • [文献書誌] Nakada,H.;Omori,K.;Tashiro,Y.: J.Histochem Cytochem. 34. 775-785 (1986)

  • [文献書誌] Fukamachi,H.;Mizuno,T.;Kim,Y.S.: Experientia. 42. 312-315 (1986)

  • [文献書誌] Chiquet-Ehrisman,R.;Mackie,E.J.;Pearson,C.A.;Sakakura,T.: Cell. 47. 131-139 (1986)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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