研究概要 |
[研究目的]サイトカインの抗腫瘍活性を十分発揮させるために、サイトカインをプルロニック・ゲルと混合し、サイトカインのがん組織局所あるいは局所リンパ節における徐放効果とそれによる治療効果の増強を検討する。 [研究成果]1.混合サイトカインの徐放性が発揮される条件:(1)プルロニック(PLF-127,PLF-108)が低温(0〜5℃)で液状で体温(37℃)でゲル化するのは20〜35%水溶液である。(2)サイトカインの活性が生体内で徐放性に放出されるのは30%以上のプルロニック水溶液に混合した場合である。2.PLF-127混合投与によるサイトカイン治療効果の増強:(1)ヒトリコンビナントインターロイキン2(IL-2)のラット線維肉腫KMT-17に対する治効果はPLF-127 30%水溶液に混合して癌組織局所に投与することによって増強された。しかしPLF-1276混合IL-2の全身的投与はIL-2単独投与に比較して増強されなかった。(2)PLF-127混合局所投与によるIL-2治療効果の増強はモルモットのLine10肝癌に対しても認められた。(3)ラットインターフェロン(IFN)のKMT-17に対する治療効果もPLF-127混合局所投与によって増強される傾向があった。3.PLF-127混合IL-2癌組織局所投与による抗腫瘍免疫応答性の増強:PLF-127混合IL-2によって治療されたKMT-17担癌ラットでは、局所リンパ節細胞の抗腫瘍中和活性および癌細胞応答性が著しく増強されていた。しかし、脾細胞の抗腫瘍活性は増強されていなかった。4.プルロニックの宿主生体に及ぼす影響:PLF-127はマウス・ラット・モルモットに致死的毒性を示すことはないが、病理組織学的に肝,脾,腎などに一時的空胞変性病変をおこすことが明らかになった。 [考案および反省]サイトカインの癌治療効果は局所徐放性投与により増強される。しかし、今回徐放性基剤として用いたプルロニックの安全性については慎重に検討する必要がある。
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