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1986 年度 実績報告書

ヒトがん細胞由来顆粒球コロニー刺激因子の遺伝子構造とその発現

研究課題

研究課題/領域番号 61015025
研究機関東京大学

研究代表者

長田 重一  東大, 医科学研究所, 助手 (70114428)

研究分担者 浅野 茂隆  東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50134614)
上代 淑人  東京大学, 医科学研究所, 教授 (90012690)
キーワード血球細胞 / 顆粒球コロニー刺激因子 / cDNA / 染色体遺伝子 / 遺伝子工学 / 選択的スプライシング
研究概要

G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)は顆粒球の前駆細胞に作用し、その増殖と分化を促進する因子である。われわれは本研究においてG-CSFを構成的に産生するヒトやマウスのがん細胞(CHU-2 NFSA細胞)より、G-CSF cDNAを単離し、その構造を明らかにした。 その結果、ヒトG-CSFには2種の mRNAが存在することが判明したが、これらのmRNAは30アミノ酸から成るシグナル配列と177あるいは174アミノ酸から成る成熟タンパク質をコードしている。 またそれら2種のmRNAによってコードされたG-CSFは成熟タンパク質のN末端から35番目で3個のアミノ酸の欠先1付加がみられる以外、全く同じ配列をもっている。 一方、マウスG-CSFcDNAは30アミノ酸のシグナル配列と178アミノ酸の成熟タンパク質をコードする一種のみで、塩基配列アミノ酸配列はヒトG-CSFのそれらと、69.3%,72.6%の相同性を示す。 これらG-CSFcDNAを導入したCOS細胞培養液中には骨髄細胞を標的として好中球のコロニー形成を促進する活性,マウス白血病細胞NFS-60の増殖を促進する活性が認められた。 またヒト,マウスの染色体上にはそれぞれ一個のG-CSF遺伝子が存在し、その遺伝子(約2.5Kb)はともに5個のexonsから構成され、そのプロモーター領域300bpでは互いに80%以上の相同性を示す。さらにヒトの場合でのみ、第2intron5側にsplice donor site(9bp)がtandenに並びalternative splicingにより2種のmRNAが合成されることが判明した。次にG-CSFの動物細胞による大量発現を試みた。 G-CSFcDNAをウシパピローマウィルスベクターに組みこみ、マウスC127細胞に導入した。 得られたトランスフォーマント株はG-CSFを効率よく生産、培地中に分泌した(10mg/l以上)。 この培養液よりG-CSFを精製したが、その標品は天然型G-CSFと同様のタンパク化学的性質をもつとともに、マウスの皮下に投与したところ、顕著な好中球数の増加を促進した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Shigekazu Nagata: Nature. 319. 415-418 (1986)

  • [文献書誌] Shigekazu Nagata: The EMBO Journal. 5. 575-581 (1986)

  • [文献書誌] Masayuki Tsuchiya: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 83. 7633-7637 (1986)

  • [文献書誌] Masayuki Tsuchiya: The EMBO Journal. 6. (1987)

  • [文献書誌] Kazuhiro Morishita: Journal of Biological Chemistry. 262. (1987)

  • [文献書誌] Masayuki Tsuchiya: Eur.Journal of Biochemistry. (1987)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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