研究課題/領域番号 |
61015044
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
瀬崎 仁 京大, 薬学部, 教授 (50025681)
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研究分担者 |
高倉 喜信 京都大学, 薬学部, 助手 (30171432)
橋田 充 京都大学, 薬学部, 助教授 (20135594)
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キーワード | 癌化学療法 / ターゲティング / 抗癌剤 / 腫瘍移行性 / 腫癌組織灌流 / モーメント解析 / プロドラッグ / マイトマイシンC |
研究概要 |
抗癌剤の癌病巣移行性を評価することを目的として、担癌家兎下肢を用いて潅流実験系を確立した。V【X_2】腫瘍を家兎下肢大腿筋肉部に移植して癌病巣モデルを作製し、動静脈にカニュレーションを施してsingle-pass法による潅流を行った。本実験系に対し、薬物を矩形に注入し、静脈側に得られるoutflow液中の薬物濃度一時間曲線に対して、クロマトグラフィーのプレート理論を適用しモーメント解析を行うことによって、局所における薬物の分布や消失を示すパラメータを誘導した。また、この実験系を用い、薬物を一定時間潅流後、腫瘍および正常筋肉部を摘出し、組織中薬物量を定量して組織移行性を評価した。このような実験系を確立した後、我々が合成した各種マイトマイシンCプロドラッグをそれぞれに適用し、その移行性と物理化学的性質との関連を検討した。マイトマイシンCを矩形で注入した場合、下肢を1回通過する間はマイトマイシンCは約40%が組織側に移行した。これに対し、マイトマイシンCをデキストランに結合させた高分子化プロドラッグは一回通過の間には殆んど組織側に移行せず、高分子化修飾を施すことによりマイトマイシンCの組織移行性が著しく低下することが明らかとなった。一方、この結合体を連続的に潅流した場合には、結合体は正常筋肉と比較して腫瘍部位に選択的に蓄積することが明らかとなり、腫瘍部位と正常部位の毛細血管壁構造の違いにより、高分子化プロドラッグが速度は遅いものの癌病巣に選択的に作用する可能性があることが示唆された。またこれらの現象において、結合体の分子量や電荷が腫瘍部位移行性に与える影響が明らかとなり、高分子化修飾を利用したターゲティング型抗癌剤の設計のための有用な指針を得ることが出来た。また、マイトマイシンCの低分子脂溶性プロドラッグに関しても、これらの実験系を利用して同様の検討を行った。
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