研究概要 |
1.ヒトT細胞分化因子1(KHF-1)の産生をコードする遺伝子の解析:ヒトT細胞ハイブリドーマ24A・CA2より産生されるKHF-1(キラーT細胞誘導、IL-2及びIL-2R誘導能を持ちM・W2万)の産生をコードする遺伝子の解析をまずNorthern hybridization法を用いて行なった。その結果、ヒトIL-1α,β,ヒトIL-4,BSF-2と異なる遺伝子によりKHF-1はコードされることが示された。つぎに24ACA2細胞からpoly【(A)^+】-RNAを抽出し、Okayama-Berg法によりcDNAライブラリーを10万個作製した。またdifferential hybridization法によりKHF-1産生ヒトTハイブリドーマに特異的なcDNAを1万個得た。これらのcDNAをベクターに組み込みCos1細胞に発現させ、KHF-1cDNAを含むと考えられる遺伝子群45,18を得た。これらの群についてさらにgene cloningを行ないつつある。 2.KHFによるT細胞活性化機構の解析:(a)in vitraでの解析;ヒト・キラーT細胞の誘導にはKHF-1による初期分化(24時間以内)が必要でその後にIL2が作用することを明らかにした。また、ヒト・キラーT前駆細胞ハイブリッド・クローン55A52・2・70に直接作用し分化を誘導した。さらに、ヒトTハイブリドーマ55Aより産生されるT細胞分化因子2(KHF-2)と相乗的に作用してヒト末梢T細胞及びキラーT前駆細胞クローンにおける分化を誘導した。このことよりキラーT細胞の誘導には少くとも三種のリンホカイン(KHF-1,IL-2,KHF-2)が必要であることが示された。(b)in vivoでの解析;KHF-1をC57β1/6αΡ815のアロ腫瘍の系に腹腔内投与し、8日目の脾細胞中のキラー活性を検討した結果、キラーT細胞誘導効果を示した。また同系腫瘍Lewis肺癌担癌マウスの脾細胞におけるLAK活性誘導効果が強く認められた。これらの結果よりKHFは新しい免疫療法の開発に重要であると思われる。
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