研究概要 |
テラトカルシノーマOTT6050の胚様体よりpoly【(A)^+】RNAと単離し、これより合成したCDNAを発現ベクターλgtllに組み込んでCDNAライブラリーを作製した。一本CDNAライブラリーを、胚性腫瘍細胞の基質への接着に関与している糖タンパク質(GP-104)に対するアフィニティー精製抗体でスクリーニングを行ない、4つの陽性クローン(λΟ1,λΟ9,λΟ24,λΟ32)を得た。得られたλファージクローンを大腸菌に溶源化し、大量の融合タンパク質を調製した。融合タンパク質をリガンドとして、抗GP-104抗血清より融合タンパク質と特異的に反応する抗体を精製し、この抗体が細胞のいかなる成分と反応するかをWestern blottingにより調べたところ、GP-104とのみ反応した。したがって、得られたクローンはGP-104のCDNAクローンであると考えられる。これらのクローンは、それぞれ、1.48kb,1.28kb,1.33kb,1.18kbのインサートを持っているが、制限酵素のBamHI,PstI,XhaIで1ケ所切断され、EcoRIとxhaIの切断断片以外は、全く同じ大きさで、λO32のCDNAをプロープとして検索した場合に、クロスハイブリダイゼイションを示し、同一のクローンであることが判明した。これらのCDNAをM13ファージもしくはpUCプラスミドにサブクローニングしてその塩基配列の一部もしくは全部を決定した。全塩基配列を決定したλΟ9のCDNAは、534bpのオープンリーディングフレームを持ち、その3´側にはpoly(A)付加シグナルAATATA並びに15個のAが結合していた。534個の塩基配列より推定されたアミノ酸配列には、N-グリユミレーション部位のアミノ酸配列Asm-X-Ser(Thr)や膜を貫通するのに十分な大きさの疎水性アミノ酸のクラスター等は見い出されず、得られたCDNAクローは、GP-104の細胞質側のペプチド部分を規定していると考えられる。現在、GP-104の全アミノ酸配列を推定すべく、5´側部分を含むCDNAクローンの単離を行なっている。
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