研究課題/領域番号 |
61015107
|
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
中島 孝 国立がんセ, その他, 研究員 (20124422)
|
研究分担者 |
森永 正二郎 国立がんセンター研究所, 病理部, 研究員 (30157911)
角川 曜子 国立がんセンター研究所, 血清部, 研究員 (50172044)
|
キーワード | 子宮頚癌 / ヒトパピローマウィルス / 免疫組織化学 / トランスフェクション / ウィルス特異mRNA【E_6】・【E_7】領域 |
研究概要 |
ヒト子宮頚部異型上皮におけるヒトパピローマウイルス(HPV)感染状況をPapillomavirus nenus-specific common antigenに対する特異抗体を用いて免疫組織化学的に検討した。その結果、HPVは上皮内癌を含めた異型上皮症例207例中32例(15%)に認められた。HPV感染は免疫組織化学的に詳しく見ると、中等度異型上皮病変に高率に(30%)認められ、異型性を増す程低下した。癌細胞にはHPV陽性所見は観察されなかった。よって、日本人の子宮頚部病変におけるHPV感染状況は、免疫組織化学的検察でみる限り、諸外国の報告とほぼ同様であることが明らかとなった。現在は、特にHPV-16型ならびに18型に焦点をしぼり、子宮頚癌と子宮頚部異型上皮におけるHPV-DNAの存在をIn situ hybridizationを用いて検討すべく、その手法の開発に努力しているところである。分子生物学的アプローチでは、HPV-16型を持つ子宮頚癌より得られたDNAをNIH3T3細胞にトランスフェクションしたところ、トランスホーマントを得ることができた。そこでトランスホーミング領域をコスミッドにクローニングし、構造解折を行なったところ、ウィルスの【E_6】ならびに【E_7】領域が含まれていることが分った。また【E_6】領域はトランスホーマント中でmRNAとして発現していた。HPV-18型をもつHeLaの細胞中のHPVの由来の2種類のmRNA〔3.4kb,1.6kb)のcDNAをクローニングし構造解析を行なった。2種類のmRNAとも、細胞に組み込まれたHPV-18型DNAがウイルス側から細胞DNA側へread throughした融合mRNAであることが分った。1.6kbmRNAには蛋白質に翻訳されるような【E_6】領域と【E_7】領域由来の塩基配列が存在していた。また、両方のmRNAのヒト由来の部分は塩基配列が共通しており、2つのmRNAは同じ箇所のHPV-DNAが異なった2通りのスプライシングで転写されたものであることが明らかとなった。
|