研究課題/領域番号 |
61020016
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
日野 幹雄 東京工大, 工学部, 教授 (30016323)
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研究分担者 |
砂田 憲吾 山梨大学, 工学部, 助教授 (20020480)
長谷部 正彦 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (80042307)
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キーワード | 洪水予測 / 降雨予測 / オンライン時間洪水予測 / フィルター分離AR法 / 逆探法 / 中小河川 / パソコン |
研究概要 |
1.目的:大きな河川では堤防が整備され洪水災害が低減した反面、最近では都市近郊の開発と相まって中小河川での洪水災害が全国的に増加している。こうした中小河川では大規模な予測システムを構成することは経済的に困難であり、パソコン程度のコンピューターにより洪水予測を行う必要がある。 洪水のオンライン予測のための流出解析モデルに要求される条件は、【i】)モデルが簡単で迅速に行いうること、【ii】)予測モデルのパラメーターが安定であること、つまり洪水中及び洪水ごとのパラメーターが一定であること、【iii】)予測精度が高いこと、【iv】)計算モデルが物理的基礎づけを有することである。 2.方法:上記の要求を満たす流出モデルとして、「フィルター分離ARX法」を採用する。もし、降雨データが得られず、洪水流量のデータのみが得られる場合は、【i】)時々刻々得られる流量時系列を、そのたびごとに数値フィルターに通し、地下水流出成分と中間・表面流出成分に分離する、【ii】)各成分流出時系列から、フィルター分離APX法(直接法あるいはLP法)により有効成分降雨時系列を逆算する、【iii】)各降雨時系列から将来降雨を予測する、【iv】)これより各成分系の流出を予測し、それらを合計して総流出を予測する。 もし、降雨データが得られる場合には、上記の【ii】)の段階を次のように変える。【ii】a)実測降雨を非線型降雨分離則により、地下水成分とその他に分離する。【ii】b)その他の成分を"partial source area"則に従って、中間・表面降雨成分と損失成分に分離する。 3.結果:上記の方法を、流域面積373.6【Km^2】(利根川支流,神流川)と約1【km^2】(カナタ・ワシタ川)の2つの流域に適用し、パソコン(NEC9801)により極短時間で(1ステップ計算に直接法ではほぼ瞬時、LP法で数分)5〜6時間ステップ先まで予測できることを明らかにした。
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