研究課題/領域番号 |
61025031
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柴田 徹 京大, 防災研究所, 教授 (20027212)
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研究分担者 |
三村 衛 京都大学, 防災研究所, 助手 (00166109)
八嶋 厚 京都大学, 防災研究所, 助手 (90144394)
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キーワード | 軟弱地盤 / 防波堤 / 複合地盤 / 粘塑性アルゴリズム / FEM / 支持力 |
研究概要 |
軟弱な海底地盤上に築造された防波堤は、変状や崩壊を生じ易く、その防災機能を失いつつあるものが少なくない。防波堤に関する最近の災害・事故例の報告によると、特に漁港施設においてその傾向が顕著にみられる。本研究においては、かかる事態を踏まえて次のような研究を実施した。 1.軟弱な基礎地盤を処理するために、防波堤施工時に、締固め砂杭工法などに代表される地盤改良が行われる。しかし設計に当っては、複合地盤の支持力理論が完全でないために、依然として円狐すべり法が用いられている。本研究では、地盤改良に伴う周辺地盤の乱れ、および初期応力状態(特に静止土圧係数)の変化を、既往の現場計測結果と室内三軸試験結果より仮定しこれらの影響を加味した有限要素解析を実施した。その結果、地盤改良後ある放置期間を設けることによって、改良域周辺地盤にも自然地盤以上の強度を期待できることが分った。 2.軟弱地盤上の防波堤では、捨石マウンド内にH型鋼材などを設置する場合がある。これは沈床と呼ばれるが、その効果やメカニズムは、いまだ十分に解明されていない。本研究においては、捨石マウンドを従来の連続体として仮定した場合と、捨石マウンドは個々の捨石の集合体であり、不連続的挙動を呈するとして、新たに開発した要素境界すべりモデルを用いた場合の2ケースについて有限要素解析を行った。その結果、後者のモデル化を用いれば、沈床の変形拘束効果とそのメカニズムが明らかとなることがわかった。 3.軟弱地盤上の防波堤は、多少とも必ず沈下を生じるので、嵩上げ問題を避けられない。そこで本研究においては、宮城県石巻漁港の防波堤構築現場で計測されているケーソン沈下、側方変位、間隙水圧などの経時変化と、粘塑性アルゴリズムに基づく有限要素解析の結果を比較することにより、適切な嵩上げ時期の判断基準を提案した。
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