研究概要 |
ステップ型リーフ上に設置された堤防前面の消波ブロックが台風の高波で繰り返し被災してきた問題に対し、本研究では消波ブロックの安定を検討する上での基礎となるブロックの挙動を実験的に調べた。予備実験から水平床上に2〜3層に積まれたブロックの安定を論ずるためには個々のブロックの波による挙動を肥握する必要性が考えられたので、単体としてのブロックが受ける波力や戻り流れによる力を調べるとともに、ブロックの動きを波の条件やリーフ上での位置との関連で調べた。長さ30m,幅1m,高さ1.2mの造波水路に設けられたリーフ模型に現地換算50トン相当のブロック模型を一つは固定し、一つは自由にして置いた。固定したブロックには圧力センサーを取りつけて波圧を測定したが、ブロックの動きとの関連を考える上で合波圧としての波力と戻り流れによる力を調べる必要があり、歪ゲージを用いて波力を測定する測定糸を作りブロックの受ける力を評価した。また、ブロックの動きを知るべく三成分の加速度計をブロックに埋め込んでの測定を試みたが、実験のモニターならびに波の測定に用いたビデオの映像の方がより有意な情報を与えてくれることから、数波の波の作用の結果としてのブロックの移動をビデオ画像から求めた。入射波高5種類,周期3種類,設置場所3ケ所,堤防の有無の条件の組合せで実験を行った。その結果、入射波の波力は波高に比例して大きくなる。一方、リーフ先端からの距離に逆比例して小さくなる。また、堤防でセキ上げられた水は戻り流れとなるが、それによる力は波周期によって最も影響されるが、波高や場所との関連は波力とは異って複雑である。それらの結果としてリーフ上の場所毎に岸側に作用する力と海側に作用する力の関係が複雑に変化し、ブロックを動かすしきい値をこえる時間の長い方へブロックは動くことが知れた。これは消波工の崩壊過程を理解する上で意義あるものである。
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