研究概要 |
1924年の西表海底火山の噴火で流出した軽石と、他の軽石との区別はつぎのようにおこなった。まず、肉眼的観察によって色と包有物を比較する。問題の西表海底火山の軽石は白色で、包有物が少ない。つぎに、肉眼観察で選び出された軽石について塩分を注意深く除去したのち、全岩化学分析をおこなう。問題の軽石はデーサイトで、Si【O_2】が73〜74%と高いのに【K_2】Oは1.1%,MgOは0.15%で、ともに非常にとぼしい。そのため、これに注目することによって区別がつく。 以上の実験を採集した軽石についておこない、西表海底火山のものであることが明らかな軽石について、大きさと含有比を調べた。その結果、火山に近い西表島では大きさ・含有比ともに大きく、黒潮の下流方向に遠ざかるにつれていずれも減少する。すなわち、西表島では最大1mであるのに対して、500m離れた沖縄島では5cmほどにすぎない。また、肉眼観察で選び出された軽石の中での含有比は石垣島では70%であるが、沖縄島周辺では3〜20%である。これらのことは、西表海底火山噴火ののち、八重山諸島が軽石で囲まれ、港が使いものにならなくなった、という記録と調和的である。 つぎに、軽石を粉砕し、斑晶鉱物を集め、EPMAによる化学分析をおこなった。その結果アンデシン,フェロホルトノライト,フェロハイパシン-ユーライト,オージャイト〜フェロオージャイト,チタン鉄鉱,磁鉄鉱,石英(?)からなることが明らかになった。 以上の結果は、本年2月、仙台市で開催された岩石鉱物鉱床学会で発表した。
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