研究概要 |
本研究は地盤・構造物の地震災害の予測を目的として、1)震度調査の整理と震度予測図の作成、2)長周期微動を観測し地下構造の推定、の研究を行った。この結果、八戸市内では震度が平均より10%以上(揺れ易い)の地域と10%以下(揺れにくい)の地域とが明瞭に区別された。また、これらの地域は長周期振動に敏感な地域と短周期振動に敏感な地域に分類される事から、震度は地震の周期特性に大きく依存しており、単に平均震度からの偏差の大小だけで地震危険度を論じる事は不都合である。そこで、調査した地震毎に震度分布図を作成し、想定地震に対する震度予測図を作成した。 次に、地下構造推定の為のアレイ観測、八戸市を東西に横切る線に沿った地盤の厚さの変化を調べる為の長周期微動の観測を実施した。これによると、アレイ観測点においては表層の厚さは40m,S波の速度は148m/sであり、2層目の層厚は500m,S波の速度は1428m/sであった。これは、長周期微動を表面波と仮定し、アレイ観測から得られたレーリー波の分散曲線からインバージョンで構造を求めた。東西測線に沿った微動の卓越周期にアレイ観測から求められた表層のS波の速度に1/4波長則を適用した。その結果、海岸から新井田川付近にかけて地盤の厚さは0〜40mまで暫増しており、新井田川近傍から馬渕川にかけてほぼ同程度の厚さであり、馬渕川から西に向って地盤の厚さも増加しており、観測点の最西端では約80mである。ここで、微動のスペクトルが観測点の地下構造を反映しているか否かを、微動に局所定常ARモデルを適用し、その最適モデルをAICの値で比較する事によって検討し、微動の卓越周期によって地盤特性を説明することの妥当性を確認した。また、´68年十勝沖地震の際大きな被害を受けた正法寺付近では、地盤の厚さは100m近くあり、さらに長周期の地震動に対して敏感な地域の一つであることが判明した。
|