研究概要 |
環境状態の精密な把握のためには時間的空間的に高分解能の多次元計測手法が必須である。我々は物理計測手法を中心にセンサから高度な情報処理技術,結果の表示技術,モデル化手法まで先端的環境計測技術を研究開発しつつある。本年は最終年度なので、研究を纏める方向で集的した。かなりの問題が将来に持ちこされたが、下記成果が得られた。[動態計測班]:対象の位置を音響パルスのエコーを用いて測定する場合の応答時間の原点を信号論から定める方法が開発された。ホログラフィック音響映像法とドップラ速度計測を組合せた広域三次元速度分布計測法の研究を行い、測定精度向上の理論的検討やシュミレーション結果よりシステム設計の基礎データが得られた。三次元情報と動画像とから部分的画像処理演算によって全体的な特徴を抽出する新しい処理方法が見出された。また、軌道に平行走査する方式のMSSの実験から物質分光特性の角度依存性についての知見が得られた。[分布計測班]:光ファイバを応用したセンサは遠隔点における状態の変化を高感度で検出する環境計測に適したセンサである。エバネシェント波によるメタンガス検出に成功した。リモートセンシングデータに対する大気効果、幾何学的歪を補正して海面温度分布を求める手法が開発された。また、水質モニタリングシステムが試作された。[分光計測班]:赤外半導体パルスレーザを光源とする分光反射率計の研究試作され、昼間大気中の粉塵の反射が測定できた。また、植物の葉の分光反射率,比反射率とクロロフィル含有量との関係を記述するモデルが構築された。分光計測のモデルを評価し、精度の良い外挿手法や高分解能可視光画像を利用して、低空間分解能熱赤外画像の分解能を改善する手法が提案された。この様に多波長,多空間,多時点の多次元計測技術が研究開発の成果が得られた。
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