研究課題/領域番号 |
61030019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古田 公人 東大, 農学部, 助教授 (80143402)
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研究分担者 |
宮下 直 東京大学, 農学部, 助手 (50182019)
高橋 史樹 広島大学, 総合科学部, 教授 (00026436)
天野 洋 千葉大学, 園芸学部, 助手 (00143264)
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キーワード | 害虫防除 / 害虫密度管理 / 都市緑地 / 樹種構成 / 植栽間隔 / 天敵 |
研究概要 |
都市緑地は昆虫類にとって隔離された生息空間であり、貧困な動物相と高度な人間活動で特徴づけられる。害虫防除にあたっても、殺虫剤の使用を控えるなどの注意が必要である。しかし、そうした発生後の対応だけではなく、自然制御機構によって密度を低く抑えることのできる緑地の造成という形で害虫管理をおこなうことが必要である。このため、植栽樹種のくみあわせ、植栽間隔、天敵などが昆虫密度の変動におよぼす影響を解析し、昆虫管理法策定のための考察をおこなった。 1.モミジニタイケアブラムシは個々のカエデ樹上では2週間あまりしか増殖しない。イロハモミジとオオモミジの2種のカエデが存在する場合には、それらのフェノロジーの大幅な差違に対応するかたちで移動し、きわめて高い密度に達した。植栽樹種の複雑化は、一般的には害虫の発生を抑制する方向に作用すると思われるが、くみ合わせによってはかえって高密度な発生を可能にするといえよう。2.トドマツオオアブラムシはモミ属稚樹に寄生する。植栽間隔を30cm、1m、3mとした場合、密度には差はなかった。しかし、アブラムシが寄生した稚樹の割合は30cm区が、寄生の数度(寄生のみられる木1本あたり個体数)は3m区が高かった。昆虫の寄生による樹木の衰弱のしかた、目につきやすさと不快感などを考慮して植栽間隔を決定する必要がある。3.コノテガシワオオアブラムシの捕食性天敵であるヒラタアブ類を除去する実験をおこなった。ヒラタアブを除去すれば、アブラムシの密度はきわめて高くなった。都市緑地では、特定の天敵の働きがおおきく、殺虫剤の散布などによって天敵を殺した場合には潜伏発生している昆虫が顕在化し、害虫として重要となることがある。 以上のように害虫の発生のしかたは緑地の造成・管理法によって異なる。目的にかなう造成・管理法の開発が必要。
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