研究課題/領域番号 |
61030029
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 均 東大, 海洋研究所, 教授 (00033126)
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研究分担者 |
中村 良治 宇宙科学研究所, 助教授 (20013708)
伊藤 富造 宇宙科学研究所, 教授 (10013624)
巻出 義紘 東京大学, 理学部, 講師 (40011746)
富永 健 東京大学, 理学部, 教授 (50011531)
蒲生 俊敬 東京大学, 海洋研究所, 助手 (70143550)
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キーワード | 成層圏 / 二酸化炭素 / 炭素同位体比 / クライオジェニックサンプラー / ハロカーボン |
研究概要 |
昭和61年5月28日、岩手県の宇宙科学研究所三陸大気球実験所(39°09′30″N,141°49′30″E)よりクライオジェニックサンプラーを装備した大気球を放球し成層圏大気を凍結捕集した。昨年度より大型の気球を用いたため、本年度は35kmの高度まで6個の試料を得ることができた。圏界面は10kmと18kmの二層であった。クライオジェニックサンプラーは7本の試料容器とこれらを冷却する液体ヘリウムを入れるデュワー瓶、容器を地上からの指金によって開閉するリモートコントロールされた真空バルブ類よりなっている。試料採取容器およびこれらの連結管や大気導入管はあらかじめ高真空に排気しておく。大気の採取は大気球の降下時に希望の高度でバルブを所定時間開放して行なった。この時大気球よりのヘリウムその他の脱ガスによる汚染を最小限に抑えるため、サンプラーを塔乗したゴンドラは大気球より100m以上下方につり下げ、さらに大気吸入孔をゴンドラより4m下につり下げた。海上にて回収されたサンプラーはまず富永研究室にて圧測点とハロカーボン、メタン測定用試料を分取したのち、東北大学田中研究室に送られ、非分散型赤外分析装置にて二酸化炭素の含有量が精密に測定された。次いで残りの大気より二酸化炭素を分離、精製し、東大酒井研究室にて【N_2】O【^(13)C】【^(18)O】濃度が測定された。 本年度は二酸化炭素の濃度、同位体比の分布が昨年度より若干異なる結果が得られた。しかし、高度が高くなるほど【δ_(13)】Cと【δ_(18)】Oが増大する傾向においては全く変わらない。昨年度の結果と合わせて考察すると、成層圏における炭素同位体比と二酸化炭素濃度の関係は対流圏と異なるらしいことがわかった。
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