研究課題/領域番号 |
61030039
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
沖野 外輝夫 信大, 理学部, 助教授 (50020681)
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研究分担者 |
加藤 憲二 信州大学, 医療技術短期大学部, 講師 (70169499)
渡辺 義人 信州大学, 繊維学部, 講師 (10021172)
市川 新 東京大学, 工学部, 助教授 (80010677)
鈴木 基之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10011040)
小倉 紀雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015127)
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キーワード | 閉鎖性水域 / 物質循環 / 生態系 / 自浄作用 / 浄化容量 / 環境保全 / 生態系モデル / 沿岸域生態系 |
研究概要 |
閉鎖性水域の浄化容量の実体を解析することを目的として、湖沼・河川生態系を物質循環の面からモデル化することを目指し、以下の研究結果を得た。本年度も前年に引き続き、河川については河道内、湖沼については沿岸域を対称として研究を行った。1.河川上流域にモデル地域を設定し、その地域での一年間の有機物収支を追跡し、以下の結果を得た。インプットとしては基礎生産による供給が100KgC,周辺の樹木等からの落葉・落枝が128KgC,その他が1730KgCであり、その他のうちの半分以上は溶存有機物の形で供給されていた。アウトプットとしては、水中の微生物群集の呼吸が77KgCで、これは基礎生産とリターによる有機物供給の34%に相当するものであった。河道内での有機物収支には底生動物群等の果す役割が大きく、河道内での有機物の無機化の18%を担っており、これが付着微生物群集の現存量を強く規定していることが分った。以上の結果をもとにして河道内での物質循環のモデル化を進め、今後、閉鎖性水域の浄化容量に果す河道内での物質収支の役割を検討する計画である。2.湖沼沿岸域については水生植物に付着する微生物群集の現存量、生産力および消失量についての季節的変動を実測し、その実体を明らかにした。同時に、併行して、沿岸域での自然浄化機能を数理モデルを用いて明らかにすることを試みた。研究対象としては沿岸域の主要な植生であるヨシ帯を採り上げた。ここでの浄化量とは、(無機化量+蓄積量)と定義している。扱うモデルはピストン・フロー・モデルとし、ヨシ帯内と沖合の湖水との交換が定量的に把握できるように配慮した。このモデルを用いて、ヨシ帯内の水の流れの速さと有機炭素および窒素の浄化量の関係を検討した。今後は対象物質として燐を加えると共に、沿岸域での物質循環モデルをさらに発展させると共に、閉鎖性水域としての湖沼全体のモデル化に取り組む計画である。
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