研究課題/領域番号 |
61030042
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
国司 秀明 京大, 理学部, 教授 (40025234)
|
研究分担者 |
武岡 英隆 愛媛大学, 工学部, 講師 (90116947)
松田 治 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (60034469)
坂本 亘 京都大学, 農学部, 助教授 (50013587)
今里 哲久 京都大学, 理学部, 助教授 (40025391)
岡市 友利 香川大学, 農学部, 教授 (90035965)
|
キーワード | 海洋開発 / 海域利用 / 海洋汚染 / 緩衝容量 / 滞留時間 / 海底高濁度層 / 富栄養化 |
研究概要 |
本年度は前年度にひきつづき、瀬戸内海とくに大阪湾における夏と冬各1回の共同観測航海(広大・豊潮丸)を中心に、流動,底層,生物各班の研究を進め、種々の成果を得た。次にその主なものを示す。 1.流動班:(1)大阪湾中央部をほぼ南北に走る密度前線(フロント)が周年に亘って存在していることが、現地観測,NOAA9の赤外画像,カーフェリーによる表層水温塩分の航走観測等の解析から明らかになった。(2)大阪湾へ流入する淡水の平均滞留時間は約1.5ケ月であることが、淡水供給に対する淡水水量の応答解析から明らかにされた。 2.底層班:(1)大阪湾における夏季の高濁度層分布の中心は湾東部の水深20mのあたりで、その濃度は海底から8m上層まで6mg/l以上に達するが、全域的には海底から2〜3m上層まで3mg/l以上の程度である。(2)一方、冬季には全域的に濃度は3mg/l以下となるが、30m以深の海底に高濁度域の残ることが明らかになった。 3.生物班:(1)夏季、有機物濃度の高い大阪湾奥部では主として流入有機物等の分解が、一方湾中央部では植物プランクトンを中心とする有機物の生産が活溌に行われていることを示す結果が、現場海水を用いた数種の培養実験から得られた。(2)大阪湾の動物プランクトンの優占種である数種のカイアシ類について、單位炭素当りのリン排泄速度はカイアシ類の体サイズの増大につれて減少するという実験結果を得た。これは小型のカイアシ類が優占する大阪湾奥部で栄養塩類の再生産速度がより高いことを予想させる。 4.62年1月に松山で3日間に亘って成果の詳細な検討を行なった。現在までの成果はなお素材的な段階にあるが、次年度は大阪湾の水塊構造を中心とした観測を行ない、海洋構造との関連における物質收支をとりまとめ、報告書を作製することが確認された。
|