研究課題/領域番号 |
61035042
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田口 久治 阪大, 工学部, 教授 (90028944)
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研究分担者 |
岸本 通雅 大阪大学, 工学部, 助手 (00144436)
吉田 敏臣 大阪大学, 工学部, 助教授 (00029290)
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キーワード | 活性汚泥 / 粘質物 / 濾過 / 圧縮透過実験 / 部分比抵抗 / 平均濾過比抵抗 / 空隙比 / 凝集剤 |
研究概要 |
1.研究目的 活性汚泥プロセスから排出される多様な微生物と有機物からなる汚泥の脱水特性を解析することを目的として、汚泥中の粘質物に着目し、圧縮透過実験により部分濾過比抵抗や空隙比に対する粘質物の影響を調べるとともに、粘質物自身の濾過特性を限外濾過により求め、汚泥の濾過特性との関係について検討した。 2.研究成果の概要 ビール工場余剰汚泥を用いて濾過圧搾実験を行った結果圧搾圧力の増加とともに、ケーク内の空隙比の減少がみられ汚泥ケークは圧縮性ケークであることが確認されたが、汚泥より分離抽出した粘質物の添加による空隙比の変化はほとんどなく、粘質物添加効果は部分比抵抗の増大によることが判った。次に限外濾過実験により各種汚泥とそれぞれの汚泥から抽出した粘質物自身の濾過比抵抗を側定し比較したところ、平均過比抵抗が大きい汚泥ではその粘質物の平均濾過比抵抗も大であるという傾向が見られた。また昨年度の研究で粘質物を汚泥に加えると汚泥の脱水性が著しく悪くなることが確認されており、粘質物の脱水性は汚泥の脱水を決定する重要な因子であることが示唆される。一般に汚泥に凝集剤を加えると脱水性が改善されることは知られているが、汚泥より抽出した粘質物に少量の高分子系凝集剤を添加すると粘質物自体の脱水性が良くなることを確認した。従って凝集剤は単に汚泥中の固形分を凝集させるだけでなく、固形分内の空隙を閉息すると推察する粘質物にも作用して脱水性を改善させたものと考えられる。以上の研究結果から、汚泥の濾過圧搾特性に対して濾過ケーク中の粘質物が大きく影響することが示唆された。今後、部分比抵抗および平均濾過比抵抗、修正圧密係数に及ぼす粘質物の影響ならびに固形分のケーク内における立体構造について詳細な検討を加えることにより生物系廃水処理汚泥の脱水性改善を図れるものと考えられる。
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