研究概要 |
1.二酸化炭素の発生異常に及ぼすカイコ感受性系の検索 昨年(昭60年)度カイコの2種の卵色突然変異系、赤卵reと白卵【W_2】を用いて、発生初期にドライアイス給原の【CO_2】処理によって精子あるいは卵子のみの発生を引き起こすことを見出した。本年は昨年に引き続き、以下の成果を得た。 材料はH系(北海道大学保存)とI系(国立遺伝学研究所保存)のreと【W_2】を用いた。H系のre、【W_2】の雌あるいは雄にI系の同様な2種突然変異体の雌雄と交配した。その結果、いずれの交配形式の場合も、精核発生、卵核発生及び、モザイク発生の出現率は産卵後、50〜90分に多い傾向が示された。 次に、異常発生の出現率を調べた。精核発生の出現率が最も高かった組合せはH【W_2】雌×Hre雄の75%に達した。ついで、H【W_2】雌×Ire雄の67%であった。また最も低い組合せはI【W_2】雌×Ire雄の13%であった。これらの結果から、【CO_2】に対する精核発生の高感受精系はH系であると言える。 卵核発生について、最も出現率の高い組合せはI【W_2】雌×Ire雄とIre雌×H【W_2】雄のおのおの19%で、最低はH【W_2】雌×Ire雄の8.9%であった。即ち【CO_2】に対する卵核発生の高感受精系はI雌系である事がわかった。 卵色モザイクの出現について、最も高い出現率を示した組合せはI【W_2】雌×Hre雄の47%で、ついでI【W_2】雌×Ire雄の30%で、最低はH【W_2】雌×Hre雄の7.5%であった。このことから、モザイク卵出現の高感受性系はI雌系であると言える。 2.ダイオキシンおよびその関連化合物の個体レベルにおける変異原性検定ショウジョウバエのM-5系を用いて、注射と添食法によって変異原性の検定を行った。この結果、1,2,3,4,7,8-HCDF添食区で0.72%と高率に劣性致死突然変異が出現した。
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