研究課題/領域番号 |
61035065
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
荻野 圭三 理科大, 理工学部, 教授 (60084430)
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研究分担者 |
阿部 正彦 東京理科大学, 理工学部, 講師 (40089371)
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キーワード | トリハロメタン / フミン質 / パイロジェン / バクテリア / 有機有害物質 / 炭素系吸着剤 / イオン交換樹脂 / トリメチルアミン |
研究概要 |
今年度の実験計画に基づき、水中に存在するトリハロメタン(発ガン性物質)前駆体であるフミン質、細菌性パイロジェン(発熱性物質)、バクテリア及びその他の有機有害物質の溶存状態並びに各種吸着剤による除去を検討した。1.フミン質の水中における溶存状態と除去(1)pHの影響:フミン質は中性領域で分子量100〜5000の幅広い分布を持つ成分であり、それはPH変化により分画することができ、pH2.8では低分子量成分(100〜1000)が、pH6.8では高分子量成分(1000〜5000)が分離された。IRの結果から、前者はフルボ酸成分、後者はフミン酸成分である事が分かった。これらの炭素系吸着剤に対する吸着量を測定したところ、低分子量成分はミクロ孔の細孔容積と、一方、高分子量成分はメソ孔の細孔容積と相関性が得られた。(2)塩添加の影響:フミン質の吸着量は無機塩のアニオン種によらずカチオン種の原子価及び濃度に依存して増加した。また、その塩濃度の増加によって上記の低分子量成分が凝集し高分子量化(1000〜3000)する事が分かった。この様に、フミン類の吸着除去には溶存成分の分子量分布を考慮した細孔分布の選定が重要である。 2.水中に溶存するバクテリア及びパイロジェンの除去:純水を貯蔵した場合、バクテリアの汚染が容易に起こり、さらに細菌性パイロジェンの汚染が増殖した生菌及び死菌に依存した。次に、生菌のイオン交換樹脂カラムによる殺菌処理を行ったところ、アニオン・カチオン各交換樹脂単独系よりも混床系の方が有効であった。また、細菌性パイロジェンの吸着除去は吸着剤の細孔分布に依存し、メソ孔が多量に存在する吸着剤ほど有効であった。 3.イオン交換樹脂からの溶出物:吸着剤として用いるイオン交換樹脂からも微量の有機物が溶出し、カチオン系から酸性物質、アニオン系からトリメチルアミンやメタノールが検出されたが、これらは反対の樹脂により吸着除去できた。
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