研究概要 |
1.フミン質の水中における溶存状態はpHに依存し, 酸性領域では低分子量成分であるフミン酸として, 中性領域では高分子量成分であるフミン酸として存在する事が分かった. また無機電解質(比較的少量)を添加すると, 低分子量成分が擬集し高分子量化した. さらに高濃度の無機電解質を添加すると分子量成分であるフミン酸が塩析され, 水溶液中に溶存するフルボ酸(低分子量成分)の割合が増加した. フミン質の吸着特性は, その溶存する分子量成分と炭素系吸着剤の細孔容積の関係に大きく依存する事が分かった. そこで吸着量に及ぼす無機電解質の影響を検討したところ, そのアニオン種によらずカチオン種の原子価及び濃度の増加に依存した. 塩析を起こさない無機電解質濃度領域では, メソ細孔の発達した吸着剤の方が良く, 一方, 塩析後に溶存するフミン質の吸着量はミクロ細孔の発達した吸着剤の方が良い事が分かった. 以上の事から, 水中に溶存するフミン質の効率良い吸着除去には, 溶存成分の分子量分布を十分考慮した吸着剤の選択が重要である. 2.純水を貯蔵した場合, バクテリアの汚染が容易に起こり, さらに細菌性パイロジエンの汚染は, 増殖した生菌及び死菌にかなり依存した. 溶存するエンドトキシンサブユニットの大きさは100〓程度であり, そのミセル状態の大きさは1000〓以上である事が分かった. その吸着特性は, エンドトキシンサブユニットの大きさとほぼ同じである細孔容積が多く存在する吸着剤程良かった. また細孔容積が大きい吸着剤程, 溶液中に存在するエンドトキシン濃度は低く, 吸着速度は速かった. 3.水道水中のエンドトキシン濃度は月間変動した. また水道水中のエンドトキシンの吸着量は, フロインドリッヒ式で整理でき, 細孔容積の大きい吸着剤の方がその定数Kも増加した. 細菌性の内毒素(エンドトキシン)を吸着操作により有効に除去するには, 吸着剤の細孔分布を考慮する事が重要である.
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