研究課題
本研究は核融合炉第一壁の強度設計基準案の提案を最終目的として進められており、本年度は荷重評価、構造応答解析、設計の指針の3つのテ-マについて研究を行なった。荷重評価では3次元渦電流解析を取り上げ、昨年度開発された3次元渦電流解析コ-ド(FEM)に、反復解法(共役勾配法)と磁気ベクトル・ポテンシャル修正法を導入した。その結果、大規模な渦電流解析が効率よく行なえるようになった。構造応答解析では4つのテ-マを取り上げた。まずパソコンベ-スの3次元疲労き裂伝播解析システムに確率論的取り扱いを導入し、熱衝撃負荷を繰返し受ける核融合炉第一壁の疲労き裂伝播のモンテカルロシミュレ-ションを行なった。詳細な実験デ-タが利用できるならば、このシステムを用いて第一壁の寿命を精度良く評価することができる。また核融合炉第一壁中の三次元き裂問題を詳細に解析するために、超大規模問題解析のための構造解析コ-ド(不完全コレスキ-分解共役勾配法(ICCG法)を採用)を開発した。これにより数万自由度の問題が合理的な計算時間で解析できるようになった。また衝撃荷重下の破壊靭性評価研究として、ひずみ速度依存性を考慮した動的FEMコ-ドを開発し、これを用いて、昨年度電磁力を利用する動的破壊靭性試験装置によって得られた動的破壊靭性デ-タの再評価を行ない、ひずみ速度の影響を明らかにした。また有限要素解析のための照射スウェリングを考慮した構造解析モデルを提案した。このモデルは従来のスウェリングに関する一次元の実験式のほとんどを解析に取り込むことができる。設計の指針では核融合炉構造物の寿命評価法を取り上げ、従来の寿命評価法の考え方および問題点の整理を行なった。その結果設計が具体化するにつれて、材料物性値の蓄積、解析モデルの見直し評価コ-ドの作成などを行なっていく必要性が認識された。
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