研究概要 |
点火温度の高いアドバンス燃料炉では,反応生成物とプラズマ粒子の衝突相互作用において,反応やクーロン散乱だけでなく核弾性散乱の影響が現われる。我々はこれまでにD-D炉における種々の核弾性散乱効果を検討してきたが,昭和61年度は核弾性散乱による燃料イオン分布関数のマクスウェル分布からのひずみとそれにともなう反応率増加の問題を,線形のボルツマン・フォッカー・プランク方程式に基づいて解析した。また、核弾性散乱効果とは独立に,点火プラズマ(D-T,CAT-Dトカマク炉)の燃焼制御の可能性を,プラズマの体積変化を考慮して,解析した。結果は以下のように要約される: 1.D-D炉における分布関数のひずみの効果は小さい。たとえばT2=75kev,Te=70kevのとき"ひずみ"にともなう反応率の増加は,D-D反応:10%,D-【^3He】反応:約2%,D-T反応:約-1%である。全核融合出力の増加は約3%にすぎない。Shuyが以前に報告した<δv>の増加は35%(D-D反応)であり,本計算結果とのちがいが大きい。この問題をさらに精度良く評価する為には,非線形の運動論的方程式に基づく解析が必要である。 2.体積変化を考慮すればプラズマの熱的不安定性が弱まる。垂直磁場の減衰指標mが大きい場合(0.8【<!〜】m【<!〜】1.5)にはD-T炉,CAT-D炉のいずれも燃料注入率の制御だけで安定化できる。垂直磁場制御方式はmの殆んどの領域で有効であるが,m【<!〜】0の場合には燃料注入率制御との併用が望ましい。
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