研究概要 |
1.リポタンパク質シグナルペプチダーゼの細胞質膜内分子配向を、ポリクローナル,モノクローナル抗体を用いて調べた。その結果、本酵素が細胞質膜内に深く埋めこまれていることが明らかとなった。また膜へのアッセンブリーにおけるN末端領域の役割について、N末端欠失体、N末端をOmpFシグナルペプチドに置換したものについて解析した。 2.リポタンパク質-グロボマイシン系を用いて、分泌タンパク質のスフェロプラスト外表への出現の様相を解析する系の確立を試みた。抗リポタンパク質抗体-タンパクA・金粒子を用いて条件の設定を行っている。 3.シグナルペプチドペプチダーゼ活性をもつプロテアーゼ【IV】遺伝子(sppA)の大腸菌染色体上での座位を決定した。またこの過程でえられたsppA欠失プラスミドを利用したsppA欠失変異株を作成した。その結果、本酵素の生理学的重要性とともに同活性をもつ他の膜酵素の存在が示唆された。 4.OmpF-OmpCキメラタンパク質等を用いて、タンパク質の膜透過、外膜へのアッセンブリーにおける成熟タンパク質部分の役割を解析した。 5.大腸菌細胞質膜の逆転小胞を用いたin vitro系をもちいて、タンパク質の膜透過には、ATP,膜電位,水素イオン濃度勾配の3様のエネルギーが関与しうることを明らかにした。またこの研究の過程で用いられてきた系が極めて汚いことが明らかとなったので、系の改良に力を注ぐことにした。膜小胞については、密度勾配遠心によって高効率で反応を行いうる標品を調製しうることが示された。基質となるタンパク質前駆体の精製法についてもかなりの進展をみることができた。可溶性画分についても検討を行っている。 6.タンパク質膜透過の機構解析に利用するために、OmpF,OmpCタンパク質に対するモノクローナル抗体を多数分離し、エピトープを決定した。
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