研究課題/領域番号 |
61065001
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
若林 健之 東京大学, 理学部, 教授 (90011717)
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研究分担者 |
須藤 和夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (20111453)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1989
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キーワード | 部位特定的標識法 / クライオ電子顕微鏡法 / 金クラスター標識 / アクチン / ミオシン / 三次元再構成法 / アビジン・ビオチン系 / 部位特異的抗体 |
研究概要 |
筋肉の力発生の素子であるアクチン分子およびシオシン分子の構造を電子顕微鏡で明らかにするために次のような研究を行った。1)分子標識(抗体標識あるいはアビジン-ビオチン系標識)を用いてミオシン分子の「分子地図」を作製した。ミオシン分子上の機能部位(ATPase活性部位あるいはアクチン結合部位など)の三次元位置を電子顕微鏡像の三次元再構成法を用いて決めることができた。2)部位特定的重金属標識法を確立し、あわせてクライオ電子顕微鏡法でこの重金属標識が利用できるようにした。まず、タンパク質との反応基としてひとつのマレイシド基を持つ金クラスター(undecagold-mononaleimide)を合成した。この金クラスターは中心に11個の金原子をふくみ、中心部の直径は8オングストロームときわめて小さい。この金クラスターとアクチン分子とを反応させると、マレイシド基はアクチンCys374と特異的に反応する。この反応で、アクチンの特定の部位に小さな金クラスターを共有結合させることができる。従来の電子顕微鏡法とちがってクライオ電子顕微鏡法では重金属染色剤(酢酸ウラニルなど)を用いず生体分子と水との屈折率の差でコントラストをつけるので、この金クラスターを見ることができる。ひとつひとつの金クラスターは電子顕微鏡像では同定できないが、顕微鏡像の三次元再構成を行うと、クラスターをつけていない試料には見られないするどいピークがあらわれた。これが金クラスターに対応するものと思われる。3)遺伝子工学的方法による金クラスター標識部位の導入。ミオシンあるいはアクチン分子上の特定の部位を可視化するため、目的とする部位に遺伝子工学的方法でシスティン残基を導入する。このようにして導位したシスティン残基に金クラスターを共有結合させ、クライオ電子顕微鏡法でその三次元的位置を決めることができる。
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