本研究は、マイクロ構造面発光レーザを実現し、その動作特性の解明と極限性能の追求を行うとともに、マイクロ構造面発光レーザを基調とした2次元並列積層光集積回路の基礎を確立することを目的として行い、以下の結論を得た。 1.活性領域径が10μm以下の微小ヘテロ構造の形成技術を確立し、特にGaAs系面発光レーザでは、直径6μmまで微小化したマイクロ構造を実現し、しきい値電流6mAの極低しきい値動作を得た。 2.レーザ反射鏡の高反射率化による低しきい値化を進め、素子抵抗や熱抵抗の低減など周辺技術を開拓して、GaAs系マイクロ構造面発光レーザの室内温度における連続発振を初めて実現した。 3.光通信用レーザとして重要なGaInAsP系面発光レーザにおいて、レーザ反射鏡の反射率と発振しきい値との関係を初めて系統的な実験により明らかにし、反射鏡の高反射率化により温度77Kでこれまでの最低しきい値約1/3(6mA)まで低減して、室温作動の見通しを得た。 4.2次元レーザアレーおよび半導体多層膜反射鏡を用いたGaAs系DBR型面発光レーザ室温パルス発振を実現するとともに、面発光レーザに積層可能な面型光変調器の基本動作を確認し、マイクロ構造面発光レーザを基調とした2次元並列積層光集積回路の基礎を確立した。 5.反応性イオンビームエッチング法による半導体極微構造形成とその加工損傷の評価、および高真空化学ビーム成長法によるCaInAsP平坦結晶の基礎的成長条件の把握を行い、マイクロ構造面発光レーザの極限性能を追求するための基盤技術を蓄積した。 以上要するに、本研究の目的である、マイクロ構造面発光レーザの基礎の確立をほぼ完了し、2次元並列積層光集積回路の実現の見通しを得た。
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