研究概要 |
1.ルミネッセンスの電界変調に関して, 試料の容量と光スイチッングの応答速度の関係について測定を行なった結果, 電界効果による光スイチッング速度が, 試料のCR時定数により制限されていることを明確にした. 2.ストリーワカメラを用いたフォトルミネッセンス測定で, 幅300ピコ秒の電界パルスに対して, 半値幅370ピコ秒の高速な光応答を観測した. 3.電界による発光再結合寿命と井戸層から障壁層へのキャリアリーワ量の制御を併用することで, 井戸内のキャリア数を一定に保ったままで, 電界による発光寿命の変化のみによる発光強度変調を実証し, この方法により, DCから数GHzまでの広帯域な発光出力変調が可能であることを示した. 4.分離閉じ込め量子井戸構造を用いたフォトルミネッセンスの電界変調実験により, 光強度の十分なオン, オフ比が実現可能であることを確認した. 5.仮想遷移による超高速光非線形現象の着想を得, DC電圧印加状態にある量子井戸構造に対して, 仮想キャリアによる分極を利用することにより, 試料のCR時定数に制限されない, 光学特性の超高速変調動作を提案した. 6.上記5の超高速現象に関して, パルス励起光に対する仮想遷移キャリアの過度応答等, 詳細な理論計算を行なうとともに, この現象を応用した量子干渉電流の超高速制御について検討を行なった. 7.分子線エピタキシ装置による量子井戸構造を有する結晶の成長に関して, 基本的な成長技術を修得するとともに, 成長した試料の光学特性に対する電界効果の測定により, 今後, 電界効果形光デバイスとしての使用に十分耐えうる特性を持つことを確認した. これより, 現有するプロセス技術による電界変調形発光素子実現の見通しがついた. 上記研究成果る関して, 別紙の通り, 国際会議において4件(発表予定を含む)の招待講演を行なった.
|