研究課題/領域番号 |
61113007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武田 弘 東大, 理学部, 教授 (50011523)
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研究分担者 |
小藤 吉郎 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (40029872)
宮本 正道 東京大学, 教養学部, 助手 (70107944)
工藤 康弘 東京大学, 理学部, 助手 (30107693)
山中 高光 東京大学, 理学部, 助手 (30011729)
床次 正安 東京大学, 理学部, 教授 (80029850)
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キーワード | 拡散 / 鉄カンラン / ペロブスカイト / 活性化体積 / イオン電導 / 結晶構造結晶亜粒界 / マントル物質 |
研究概要 |
固相中の元素の拡散は地球内部における物質移動と変化のうちでは微視的で基本的な過程であるが、地球深部における固体の流動とりわけ岩石鉱物のクリープと深い関係を持っている。常圧におけるバルク拡散定数の測定などは行われているが、これを地球内部の現実の問題に応用するには問題が多い。 本研究では高圧下における拡散定数の変化を示す拡散の活性化体積を推定することと、結晶亜粒界にそっての高速拡散の分析電子顕微鏡による研究に重点をおいた。高圧下での拡散の研究の基礎となる、主要なマントル物質であるカンラン石とペロブスカイト型MgSi【O_3】の高圧下での結晶構造精密化を行い、それより陽イオンが安定にある席と空席に移る時の静電エネルギーのSaddlepointのエネルギー差としての活性化エネルギーが、高圧になるにしたがいどう変化するかを求めた。鉄カンラン石の活性化体積は21【cm^3】/モルであることがわかった。高圧でのペロブスカイト型MgSi【O_3】の構造は96kbまでの圧力で精密化されたが、高圧になっても対称の高い構造には変化しないことが判明した。これらのデータより高圧下での活性化体積を求めるため、もっとも容易な拡散径路を探す研究が分子動力学的な計算機シミュレーションの手法で行われている。ペロブスカイトでは陽イオンより酸素の方がより動き安いことが見出された。この問題と関連し、ホタル石構造を持った【Bi_2】【O_3】の酸素のイオン伝導の研究も行われた。また高温でのペロブスカイト構造の変化をみるためMgSi【O_3】と類似の構造をもつScAl【O_3】の構造変化の研究も行われた。 カンラン石および石英の結晶亜粒界にそっての高速拡散の実験を行うための試料調整のため、もっとも有効な実験が行える亜粒界を持った試料の特性化を行い、高温拡散実験を開始した。カンラン石-スピネル転移、斜方一単斜輝石の転移にともなう元素移動の研究も来年の実験に向けて、天然の試料での観察を行い元素移動を確かめた。
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