研究課題
種々の生理活性物質に対する細胞機能応答現象において、細胞内カルシウムイオン動態の重要性が近年明らかにされてきた。しかし、細胞応答に共役して変化するカルシウムイオンの分子レベルでの作用機序は不明な点が多く残されている。そこで本研究は生体の最も重要な細胞機能を選び出し、それぞれの機能発現に関与するカルシウム調節機能について、多角的に検討した。研究代表者日高は血管平滑筋収縮や血小板放出反応におけるカルシウム依存性ミオシン軽鎖リン酸化反応の生理的意義を解明する目的で、カルシウムチャンネルブロッカー、カルモデュリン阻害剤、ミオシン軽鎖キナーゼ阻害剤、Cキナーゼ阻害剤、Cキナーゼ活性化剤等、カルシウムによる情報伝達の各プロセスを修飾する種々の薬物を用いる薬理学的手法によりカルシウムイオンの作用点としてカルシウム・カルモデュリン依存性ミオシン軽鎖リン酸化酵素の重要性について検討した。更に西塚班員は、Cキナーゼの構造解析とクローニングを田中千賀子班員は中枢・末梢神経の神経伝達物質遊離におけるCキナーゼの役割を検討し情報伝達におけるカルシウム依存性リン酸化酵素の重要性を示した。山崎班員は血小板内のカルシウム動態について、藤原班員は細胞の分泌反応におけるカルシウムの役割について、小林班員は新しいカルシウム依存性アクチン結合蛋白質と細胞機能を、小島班員は白血病細胞の分化誘導におけるカルシウムの重要性を、岡本班員はアルドステロン生合成におけるカルモデュリンの重要性を、久米班員はカルシウムによる血小板活性化反応における凝集、分泌などの機能の分離を田中亮班員はグリア細胞成長因子に対するグリア細胞応答機構におけるカルモデュリンの重要性を、又小安班員はインターロイキシン2レセブター発現におけるカルシウムイオンの役割についてそれぞれ明らかにし広範囲の細胞機能においてカルシウムイオンの重要性が確認された。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)