研究課題/領域番号 |
61119001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
多田 啓也 東北大, 医学部, 教授 (20046907)
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研究分担者 |
中野 昭一 東海大学, 医学部, 教授 (00055716)
黒田 泰弘 徳島大学, 医学部, 助教授 (20035471)
大柳 和彦 札幌医科大学, 助教授 (10045388)
和田 義郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (30004849)
立木 蔚 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (90006065)
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キーワード | 糖原病【I】型 / グルコース-6-燐酸輸送系 / 好中球異物貧食能 |
研究概要 |
糖原病(GSD)Ib型は肝ミクロゾーム膜のグルコース-6-燐酸(G6P)輸送系の遺伝的欠損に基づく疾患である(多田ら,1978年)。当初、GSDIb型とIa型(G6Pase欠損症,von Gierke病)とは臨床的に区別出来ないとされていたが、最近、好中球の減少や機能異常による易感染性が指摘され、それがIb型の特異的所見として注目されている。しかし、好中球機能異常をきたす機序についてはいまだ明らかでない。本研究の目的はGSDIb型における好中球機能異常とG6P輸送系との関連を明らかにすることにある。休息状態での好中球のHexose monophosbhate shunt(HMPS)活性はIb型,Ia型共に正常であったが、LatexやPMA (phorbol myristate acetate)で刺戟した状態でのHMPS活性には著明な差異が見出された。すなわち、Ia型の好中球では正常好中球と同様に上述の刺戟によりHMPS活性の著明な上昇が認められるが、Ib型好中球では活性上昇が全く認められなかった。Ib型好中球のG6PD(グルコース-6-燐酸脱水素酸素)並びに6PGD(6-ホスホグルコネート脱水素酸素)活性は正常範囲であった。また、zvmosan刺戟時の酸素消費量はIb型では著明な任値を示した。同様な傾向は【O_2】産生能や化学発光でもみられた。すなわち、症例1及び2の【O(^-_2)】産生能はコントロールの22.6%(ザイモン刺戟),20.4%(PMA刺戟)であり、化学発光は12%(ザイモン刺戟)であった。 これらの成績はIb型の白血球では好中球における異物貧食時の代謝亢進が認められず、これが好中球の殺菌能の低下→好中球減少→易感染性の原因となっているものと推測された。これらの好中球機能異常はG6P輸送系の完全欠損を示す乳児発症例に認められたが、G6P輸送系の部分欠損を示した成人例では認められなかったことから、G6P輸送系と上述の好中球機能異常との関連が示唆された。
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