研究課題/領域番号 |
61119004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三輪 史朗 東大, 医科学研究所, 教授 (40034954)
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研究分担者 |
八幡 義人 川崎医科大学, 教授 (70069011)
向井 常博 佐賀医科大学, 助教授 (40108741)
田中 武彦 大阪大学, 医学部, 教授 (60028272)
米山 良昌 金沢大学, 医学部, 教授 (10019515)
宮地 隆興 山口大学, 医学部, 教授 (60034906)
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キーワード | 遺伝性血液疾患 / 不安定ヘモグロビン症 / サラセミア / 赤血球酵素異常症 / ピルビン酸キナーゼ異常症 / 遺伝性楕円赤血球症 / 血友病 / 慢性肉芽腫症 |
研究概要 |
初年度に引き続いて遺伝性血液疾患の中でも主として赤血球系の疾患に焦点をしぼったが、白血球系、凝固系の異常についても研究を進めた。(1)ヘモグロビンの異常に関しては超不安定ヘモグロビンの1例でペプチドの重複挿入によること、αβサラセミア様症候を呈する不安定変異種でβグロビン鎖の塩基置換によることを明らかにした。さらに構造異常の判明している異常ヘモグロビンおよびHb M症のモデルヘモグロビンを調整して、その構造と機能の関係を明らかにした。(2)酵素異常に関しては解糖系の酵素異常症の中で最も頻度の高いピルビン酸キナーゼについて、ラットの全てのアイソザイムcDNAのクローン化と塩基配例の決定と、ヒトL型cDNAのクローン化を行った。アルドラーゼ異常症の1例では単一塩基置換によることを明らかにした。アデニレートキナーゼは既にcDNAのクローン化を行っているが、今年度はcDNAの発現プラスミドの作製と簡易精製法を確立した。さらに遺伝性メトヘモグロビン血症の病因解明の目的で赤血球NADH-cyto-chrome b5 reductase cDNAのクローン化と塩基配例の決定も行った。(3)膜異常については遺伝性楕円赤血球症の溶血型と非溶血型のスペクトリンを中心とする細胞骨格について検討した。さらに細胞骨格の機能を検討するために、裏打ち網状構造を解離し、更に、再構生する方法も確立した。(4)白血球系に関しては慢性肉芽腫症の病態解明と治療法を開発する第1歩として好中球における活性酸素の生成機構について検討した。(5)凝固系については本邦で発見されたインヒビター陽性血友病B7例中4例に第【IX】因子遺伝子の欠損を証明した。以上の様にヘモグロビンの異常、酵素異常,血友病に関しては着実に遺伝子レベルでの病因解明が進んでいる。
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