研究概要 |
本年度は主として疑似用法の研究にあてられ、いくつかの興味深い知見を得ることができた。疑似用法の研究が重要な意味を持つのは、条件文と逆接の接続詞,及び接続助詞の研究においてである。条件文に関しては、疑似用法は異常性が目立つため、見のがされることはないが、単なる寄生的用法として無視されることが多い。ところが、疑似条件文の研究は、通常の条件文の研究に大きく寄与することができる。一方、逆接の接続詞,接続助詞に関しては、疑似用法は極めて一般的で、恐らく、通常の用法より頻度が多いと思われる。したがって、それが疑似用法であると考えられることはまれで、ともすれば、これらの語の意味記述を誤らせることになる。したがって、正確な意味記述のためにも、疑似用法についての一般的研究が必要である。今年度は、疑似用法の一般的特徴付けと、この用法がさまざまな論理語にみられること、及び、そこで用いられている語用論的推論の一般的性格を取り出すことに成功した。その成果の概要は、何回かの研究発表を通じ公表するとともに、論文の形でまとめ、次の研究に役立てるようにしてある。
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