研究概要 |
脳神経組織中の新活性物質の検索として、脳中にも心房性Na利尿ペプチドが存在することがわかり、このペプチドがなんらかの神経作用を有することが示唆された。この脳ペプチドはANP4-28,ANP5-28であり、心房中の物より低分子であった。このことから脳では別のプロセシングの可能性があることがわかった(井村)。ブタ脊髄中から平滑筋収縮活性、血圧降下活性をもつペプチドを発見し、構造解析を行ったところ塩基性ミエリン蛋白111-129に対応するペプチドであった(宗像)。脳TCAホモゲナイズ後の沈澱物中に強い溶血活性が認められ、その本態を調べたところ、ドコサヘキサエン酸を脂肪酸部にもつプラズマローゲンのリゾ体であることを確認した(中嶋)。 化学合成による活性発現様式の解明としては、走化性ペプチド、ニューロキニンA,B,CCK-8等につき検討した。走化性ペプチドICPは顆粒球からの脱顆粒作用はないが、【Pro^7】→【Lys^7】に変換するとヘリックス性が高まると同時に脱顆粒活性を獲得した。その機序はPro→Lysにより脱結合性GTP含有蛋白に作用するようになり、その機能を高めることにより脱顆粒を起こすことを証明した(中嶋)。ニューロキニンA,Bについては【Gly^8】にAlaあるいはPro,Ser等を導入したものを合成しヘリックス含量と平滑筋収縮活性の相関を検討した(宗像)。 一方CCK-8の誘導体を各種合成し、脳および膵での受容体との結合を検討したところ、CCK-8に対する態度は脳と膵では異なることが示された(矢内原)。またヘロデルミンについては活性発現部位が1-27位に存在することを合成的に確かめた(矢内原)。ベンゼン環上に種々置換基を有するセロトニン誘導体を合成した(山中)。
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