生物活性物質の化学変換

1986 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 61124005
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 向山 光昭 東大, 理学部, 教授 (60016003)
• 研究分担者: 光延 旺洋 青山学院大学, 理工学部, 教授 (90082792) ; 野依 良治 名古屋大学, 理学部, 教授 (50022554) ; 田村 恭光 大阪大学, 薬学部, 教授 (40028824) ; 大野 雅二 東京大学, 薬学部, 教授 (00111550) ; 大石 武 理化学研究所, 主任研究員 (30001035)
• キーワード: 高選択的反応 / トリチル塩 / ケテンシリルアセタール / 人工ブレオマイシン / オリゴマクレオチド / 保護基 / ポリオール類

研究概要

生物活性物質の合成法および効率のよい化学変換手法の開発を中心に研究を行い、以下の高選択的な合成手法を開拓することができた。
1.求電子試剤の活性化に、トリチル塩を触媒として活用することによって、マイケル反応,マイケル-アンドール連鎖反応などの高立体選拓的な炭炭素骨格形成法を確立した。
2.ポリオール系化合物とくに1,3-ジオール類の立体選択的合成法を開発し、この手法を用いて菊科植物より単離されたラクトンの立体構造を明らかにすることができた。
3.抗腫瘍活性物質であるブレオマイシンの人工モデルを合成し、糖側鎖部分をエーテルに、またピリジン環をピリミジン環へと変換した人工ブレオマイシンが、酸素活性化能,DNA切断機能を示すことを見い出した。
4.ケテンシリルアセタールのルイス酸触媒を用いるアルデヒド,ニトロンへの付加反応を利用し、光学活性リボース,アミノ糖などの効率的な合成手法を開発し、その手法を用いてダウノサミンの合成も行うことができた。
5.オリゴマクレオチド合成のための保護基としてアリル基およびアリルオキシカルボニル基が有効であることを見い出し、これら保護基を利用し、2-5A類縁体の大量合成法の開発を行っている。
6.糖質化合物の化学変換によるポリオール類の立体選択的合成手法を開発し、マイシナマイシンIのアグリコン部分の合成にも成功した。

研究成果

• [文献書誌] T.Mukaiyama: Heterocycles. 25. 205-211 (1987)
• [文献書誌] T.Mukaiyama: Chem.Lett.1821-1824 (1986)
• [文献書誌] S.Kobayashi: Chem.Lett.1805-1808 (1986)
• [文献書誌] T.Mukaiyama: Chem.Lett.1017-1020 (1986)
• [文献書誌] T.Nakata: Tetrahedron Lett.27. 6341-6344 (1986)
• [文献書誌] T.Nakata: Tetrahedron Lett.27. 6345-6348 (1986)
• [文献書誌] A.Kittaka: Tetrahedron Lett.27. 3631-3634 (1986)
• [文献書誌] Y.Sugano: Tetrahedron Lett.27. 3635-3638 (1986)
• [文献書誌] M.Otsuka: Tetrahedron Lett.27. 3639-3642 (1986)
• [文献書誌] Y.Kita: Tetrahedron Lett.26. 5777-5780 (1985)
• [文献書誌] Y.Tamura: Tetrahedron Lett.27. 81-82 (1986)
• [文献書誌] Y.Tamura: Tetrahedron Lett.27. 195-198 (1986)
• [文献書誌] Y.Hayakawa: Tetrahedron Lett.26. 6505-6508 (1985)
• [文献書誌] Y.Hayakawa: J.Org.Chem.51. 2400-2402 (1986)
• [文献書誌] Y.Hayakawa: Tetrahedron Lett.27. 4191-4194 (1986)
• [文献書誌] Y.Hayakawa: Tetrahedron Lett.27. 4195-4196 (1986)
• [文献書誌] J.Kimura: Bull.Chem.Soc.Jpn.59. 869-874 (1986)
• [文献書誌] H.Seki: Chem.Lett.