研究課題/領域番号 |
61211017
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小夫家 芳明 京大, 工学部, 助教授 (80026195)
|
研究分担者 |
黒田 裕久 京都大学, 工学部, 助手 (00111930)
山村 和夫 京都大学, 工学部, 助手 (80108761)
|
キーワード | 人工チトクロームP-450 / 酸素活性化 / オレフィンエポキシ化 |
研究概要 |
チトクロームP-450は、分子状酸素を直接活性化して酸素分子を基質に導入し、種々の重要な生体内酸化反応に関与している。その広範な触媒作用は有機炭素資源の高付加価値化合物への変換にとって極めて重要である。このP-450の系では酸素分子活性化のため二電子を必要とし、天然系ではフラボ蛋白が電子移動触媒として機能している。そこで従来から開発してきた「水溶性ポルフィリン-マンガン錯体-還元剤」から成る人工P-450システムにおける最も遅い反応であるマンガン(【III】)のマンガン(【II】)へのメチルニコチンアミドによる還元反応に対するフラビンモノヌクレオチドの触媒活性を検討し、1600培の加速効果を見出し、天然のP-450酵素の必須成分と1:1に対応する完全人工触媒系を構築することに成功した。このニコチンアミド-フラビンモノヌクレオチドから成る新しい電子伝達システムを用いて、シクロヘキセン,ネロールに対するエポキシ化反応を検討し、人工酸素活性化システムについて従来報告されている値の最高の触媒循環数と循環速度を達成した。本研究で開発した触媒システムの最も重要な特徴は、生成物生産に寄与しない触媒の非生産的還元に対するエポキシ化反応の割合が格段に増大した点で、これは第一番目の電子移動によって生成したマンガン(【II】)酸素錯体への第二番目の電子移動(律速段階)が溶媒ケージの中で非常に速やかに起っていると共に、生成してマンガン(【V】)オキセンへの第三番目の電子移動が、ケージ外から別のニコチンアミド分子の拡散を必要とし抑えられることによるもので、触媒効率を高める原理を見出した。また酸素活性化に隣接して、基質認識点を有するさらに高度の触媒系を構築するために、α-シクロデキストリンの隣接グルコースユニットに、ポルフィリンとフラビンのそれぞれ酸化触媒及び還元触媒中心を有する化合物の合成を行った。
|