研究概要 |
混晶超高速オプトエレクトロニクスデバイスのための多層量子井戸構造を種々の条件でMBE法を用いて作製すること、それらの素子作製の過程における混晶領域および化合物半導体との界面の原子構造を、電子プローブ表面広域X線吸収微細構造(EXAFS)を用いて解析し、デバイスの特性との関係を解明することが目的である。しかし、本年度の設備備品費が受けられなかったため、本年度の課題のうち、電子プローブ表面EXAFSによる表面・界面の原子構造解析は現在のところ達成されていない。他の課題については、次の成果を得た。 1.Si上におけるGeエピタキシャル薄膜の成長。 Si基板温度240℃で蒸着し(低温成長)、その後500℃で加熱すること(ポストアニーリング)により、比較的大きな格子不整がある系(Si-Ge系では約4%)でも、巨視的にも平坦で結晶性も良好なエピタキシャル薄膜が得られることを明らかにした。低温成長の場合には成長初期に微結晶が成長することから、Si-Ge界面に存在する微結晶層が、格子不整により生ずる歪みの緩和に大きく寄与していることを指摘した。 2.GaAs/Si系の表面・界面の評価。 Si(111)基板を400℃に保ちGaAsを蒸着し、表面超格子構造及び成長過程をRHEEDで観察し次のことを明らかにした。(1)Si(7×7)上に400℃でAsを蒸着した場合、Asはホローサイト(第2層または第4層の真上)に吸着し理想的な(111)表面が出現する。(2)その表面上にGaAsを成長させた場合、(111)面が得られる。また、GaAs薄膜をX線回折,SEM等で観測し、良好な膜が得られていることを確認した。 今後、AlAs/Si,AlAs/GaAs等の界面構造,成長過程を調べ、多層量子井戸構造の試作・評価を行う予定である。
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