研究課題/領域番号 |
61215030
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
加藤 隆一 慶応大, 医学部, 教授 (40112685)
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研究分担者 |
中木 敏夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30164148)
石井 邦雄 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90137993)
山本 慧 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (50138129)
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キーワード | 細胞内遊離【Ca^(2+)】濃度,【Ca^(2+)】取り込み,脱感作,C-キナーゼ,副腎髄質クロマフィン細胞. |
研究概要 |
持続的な受容体刺激に伴いその反応が減弱する現象は広く脱感作と呼ばれているが、その発現機構は現在のところ不明である。本研究では副腎髄質クロマフィン細胞初代培養系を用い、持続的なニコチン様受容体刺激に伴う細胞内遊離【Ca^(2+)】濃度(〔【Ca^(2+)】〕i)の上昇、カテコールアミン(CA)分泌の急速な脱感作機構について検討し以下のような知見を得た。 1)【Ca^(2+)】非存在下、カルバミルコリンで細胞を前処置するとその処置時間又濃度依存的に【Ca^(2+)】添加による〔【Ca^(2+)】〕iの上昇が抑制された。ところが、細胞を高【K^+】で処置してもこのような〔【Ca^(2+)】〕i上昇の脱感作現象は認められなかった。また、【^(45)Ca^(2+)】を用いた【Ca^(2+)】取り込みを指標にした場合においてもQuin-2,Fura-2による〔【Ca^(2+)】〕i測定結果とほぼ同様の結果が得られた。この結果より、〔【Ca^(2+)】〕i上昇の脱感作は、電位依存性【Ca^(2+)】チャネルの不活性化が原因ではなく、受容体刺激から【Ca^(2+)】チャネル活性化に至る過程のuncouplingにあることが示唆された。 2)CA分泌の脱感作も〔【Ca^(2+)】〕i上昇の脱感作と平行して生じることから〔【Ca^(2+)】〕i上昇の脱感作がCA分泌の脱感作と密接に関連していることが明らかになった。 3)C-キナーゼの活性化剤であるTPA処置でニコチン様受容体刺激に伴う〔【Ca^(2+)】〕iの上昇が抑制されたが、高【K^+】による〔【Ca^(2+)】〕i上昇は抑制されなかった。TPAによる受容体刺激に伴う〔【Ca^(2+)】〕i上昇の抑制はC-キナーゼの阻害薬であるH-7によって阻害された。この結果より、C-キナーゼの活性化が、ニコチン様受容体と【Ca^(2+)】チャネル間の連関機構に抑制的に関与していることが示された。 4)カルバミルコリンによる〔【Ca^(2+)】〕i上昇の脱感作とTPA処置による〔【Ca^(2+)】〕i上昇の抑制がほぼ同様の時間経過で生じることから、カルバミルコリンによる脱感作機構にC-キナーゼの活性化が介在する可能性が考えられるがH-7により、カルバミルコリンによる脱感作は抑制されなかったので、他の因子の関与が考えられ検討中である。
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