偏波面保存光ファイバを用いたファブリーペロー型ファイバ干渉計は高感度センサとして優れた特性を有するが、従来、広範囲にわたって任意に変化する干渉光の位相変化をπradよりよい精度で請密に観測する方法に欠けていた。本研究では、干渉計を構成するファイバの長さにピエゾセラミック素子を使って変調をかけ、変調の一周期内の2点の干渉光の強度を検出し比較することによって、ファイバを通過した干渉光の位相の変化をCRTディスプレイ上の円運動に変換し、任意の位相変化をこれまでよりはるかによい精度で追跡する方法を確立した。特にこのシステムの時間応答と精度について次の点を明らかにすることがができた。 1.ファイバ長の変調周波数を1KHzまで高めることによって、測定の時間応答を0.01秒以下にすることができた。変調用の駆動電源の容量を大きくすれば、さらに応答を速くすることができる。 2.時間応答特性を改善したことにより、電源の残留リップルに由来する光源強度のわずかな変動が惹き起す影響を検出し、その結果、光源の強度のゆらぎがこの測定システムの精度の限界を与える主要な要因であることを解明した。またファイバを通過した光が非干渉性成分を含む場合には精度を低下させることを調べた。 現在のところ上述の要因により位相測定の精度は【10^(-2)】radであるが、非干渉性成分を抑えることによって約5倍改善することができる見込みである。しかし現在の精度でも、例えば温度変化の測定に応用すれば、長さ1mのファイバ干渉計を用いて、4×【10^(-5)】度以上の任意の温度変化を観測することができ、このファイバ干渉計システムがダイナミックレンジの広い、高感度なセンサとして機能することが実証できた。
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