研究概要 |
半導体レーザ(LD)は、注入電流によって直接的に発振周波数変調(FM)が可能であり、光計測や光通信,吸収分光計測,光情報処理などの分野で電子的に広帯域で連続的なFM動作が必要とされている。そこで本研究では、先づ近接した外部鏡を用いた複合共振器構成とすることによりLDの極めて広帯域のFM動作法の実現を目指した。また、FM-LDの光センシング分野に於ける新しい応用として、物体の距離及び計状の高分解能FMヘテロダイン計測法の提案と動作実験を行った。本年度の研究成果は次の通りである。 1.複合共振器によるLDの広帯域FM動作の研究 実験に用いた複合共振器型LDは外部鏡として、1)外部共振器長L〓10μmの近接した平面鏡、2)曲率半径1.5mmの微小球面鏡を用いた。1)の型では、外部共振器長をPZTで波長程度の微小変化させることにより、LDの軸モードが順次発振し、発振波長幅18nm,周波数幅7.8THzと大きな値が得られた。次に、注入電流に変調を加えることにより1)では150MHz,2)の型では290MHzと極めて大きい連続的FM偏移が可能となった。 2.FMヘテロダイン計測法の研究 次に、FMの可能なLDを用いて、三角波状にFMを加え、マイケルソン干渉計型の光学系によりビート信号を発生し、その位相偏移を求めることにより物体の距離を求める計測法を提案した。動作実験を試みた結果、約500mmの距離の粗面に対し50μmの誤差で距離測定が可能であり、また変位の測定では約10nmの高精度特性が得られた。
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