研究概要 |
医学・生体学の分野では、観察したい試料の大部分は3次元物体である。しかし、生体試料観察には2次元画像しか得られない顕微鏡が主に用いられている。もし、顕微の焦点深度を十分に深くすることができれば、一枚の画像で生体試料の全体を観察することが可能になり、作業能率が飛躍的に向上する。本研究では、焦点深度伸長像を得る方法として、 1.顕微鏡試料台上の物体を深さ方向に移動させながら得られる、焦点位置の異なる複数の画像をもとに、高速デイジタル画像処理装置を用いて局所的なフオーカス度、すなわち深さ情報を抽出し、精度の良い焦点深度伸長像を合成することのできるアルゴリズム-局所分散荷重平均法(local variance weighted averaging method:LVWA法)を開発し、 2.これを、顕微鏡装置,TVカメラおよび画像処理装置(MFIP)から構成される顕微鏡画像計測システムに組み込み、様々な画像処理の実験を行った。 その結果、次のようなLVWA法の特徴が明らかになった。 1.フオーカス度の測度として、各焦点系列像の局所分散を用いていることにより、試料ステージの移動に伴う倍率,照明条件の変化,あるいは、入力時の雑音等の影響をほとんど受けない3次元計測が可能である。 2.処理アルゴリズムガ、高速画像処理システムを用いると短時間で実行可能である。
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