研究概要 |
原子核のβ崩壊を担う弱核子流には核力(メソン自由度)のために核子の反跳運動量に比例する誘導項がつけ加わる。このなかで誘導擬スカラー項を実験的に高い精度で決定して、弱核子流の構造とカイラル対称性や保存則の適用限界等の知見を得る事を目的としている。この誘導項のような微細な物理量を観測するのには特に原子核構造の詳細には依存しない偏極と放射線との相関を取る実験が最も適している。新しい実験方法の基本は、偏極【μ^-】吸収反応で生成する原子核の、これに反応することによって移行された、偏極とか整列を測定するものである。 今年度は【μ^-】吸収確立と偏極の測定に伴う次の研究,調査,立案,設計,と具体的な試験を行なって次年度からの研究に備えた。 (【i】)【μ^-】吸収反応用標的の選択。標的は生成核の捕獲と、同時にこのスピン偏極の保持の役割を持つので特に念入りな選択と試験が必要である。今年はBe金属,B金属,C(グラファイト),Zr【O_2】等の試験を行なって、その結果有望である事が判明した。 (【ii】)偏極及び整列の移行過程の理論的検討。これにしたがった実験条件を立案して、設計を検討した。 (【iii】)具体的な実験装置の検討。 (【iv】)核スピン制御装置の設計と、このための非対称β崩壊を指標とするNMR法の実地試験を行なった。 (【v】)測定可能な原子核の探索。
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