n型半導体であるTi【O_2】電極の表面に、混合原子価錯体であるプルシアンブルー及びその類以体、さらには高分子マトリックスに静電的に捕促された各種のレドックス体の暗所及び光照射下での電子移動反応を検討した。プルシアンブルーで修飾したTi【O_2】電極の場合、濃青色のプルシアンブルーは暗所において電気化学的に還元され、無色透明体となるが、その再酸化はTi【O_2】がn型半導体であるために起らない。この状態で、光照射すると、光酸化反応が起り、無色透明な薄膜は再び、濃青色体であるプルシアンブルーとなる。この原理を利用すると、可逆的な光情報記憶素子を作る事が可能である。本研究においては、プルシアンブルーを始めとする多くの修飾電極の挙動を半導体電極上、さらには、電子移動過程の詳細を金属電極上において検討した。応用に際して最も重要である半導体と各種レドックス体のエネルギー位置関係を調べるために、酸化・還元電位の異なる多くのレドックス体修飾電極の暗所及び光照射下での電子移動反応を詳細に調べた。レドックス体の酸化・還元電位がフラットバンド電位の近傍に位置するRu(edta)錯体の場合は、錯体自体の酸化・還元が暗所で起るため、光情報記憶素子としては応用不可能であるが、フラットバンド電位より約0.2〜0.3V貴な電位を有するレドックス体では、プルシアンブルーの場合と同様に光記憶素子に応用可能である事が判明した。
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