研究概要 |
1.ステロイド骨格炭素原子のヘテロ原子置換-ステロイドケトンを室温、中性の条件下に、同一の環員数を有する環状エーテル、環状スルフィドに変換する新方法により、新たに11-オキソ-5β-プレグナン-3α-オールアセテートを相当する11-オキサ、11-チアステロイドにそれぞれ4段階、5段階で変換することに成功した。今回合成されたチアステロイドは、初の11-チアステロイドである。 2.電極酸化によるステロイドのアセトアミド化による二親水性基を有するステロイドの合成-カルボニル基または、m-ヨードフェニル基を含むエステル基を3α-位に有するステロイド類をアセトニトリル中で陽極酸化することにより、6α-位にアセトアミド基を導入することに成功した。生成物の6α-アセトアミド-5α-コレスタン-3α-オールアセテートは、別途合成により確定した。陽極酸化を利用した本アセトアミド化反応では、C-6位のエクアトリアル水素がアセトアミド基によって置換される点、従来の結果と異なり、興味深い。 3.アルコキシルラジカルによるステロイドの遠隔官能化-ベンゾフェノン構造を含むエステル基を3α位,7α位に有する5α-コレスタン,アンドロスタン誘導体をそれぞれ【NaBH_4】で還元して得られるアルコールをHgO-【I_2】により相当するhypoioditeとし、光分解することにより、それぞれ15位、25位に官能基を導入できることを見出した。 4.コレステロールおよびその合成アナログの脂質二分子膜中における挙動の比較-コレステロールと5α-コレスタン,3-オキサ-,6-オキサ-,7-オキサ-5α-コレスタンなどのコレステロールアナログの脂質二分子膜への影響を蛍光分析あるいは示差熱分析により比較検討し、予備的知見を得た。
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