研究概要 |
1.レタスの発芽調節に関する従来のデータを再整理し、また、必要な実験結果を追加することにより、環境因子(光・温度)および植物ホルモンによる発芽調節機構を示すモデルを発表した。(第5回日米セミナー・ハワイ)。 2.光照射したレタス吸水種子からmRNAを調製し、Gubler Hoffman法によりcDNAを合成した。これを用いて、pUC9ベクターによるcDNAライブラリー(【10^5】コロニー)、λgt11によるライブラリー(5×【10^5】プラーク)を作製した。プラスミドライブラリーには合成オリゴヌクレオチドを用い、またλgt11ライブラリーに対してはGS抗体を用いてスクリーニングしたところ、それぞれ複数のポジティブクローンを得た。現在、それらの構造を解析中である。 3.遺伝子の発現機構を解明するためには、in vitro転写系を確立することが必要であるが、植物ではまだ完全な系は実現していない。そのため、遊離核レベルの転写系を確立した。光照射したレタス吸水種子からpercollグラジェント法で核を単離し、〔3,5-T〕UTPを取り込ませたところ、高い転写活性を示した。現在、上記2で得たGSクローンcDNAとハイブリッドするRNAを検出している。この系は今後「光誘導因子」のassay系として役立つものと思われる。 4.光誘導を受ける植物酵素(Rubis CO,chal cone synthase等)の遺伝子では5′側に「光依存調節領域」の存在することが判明している。レタス吸水種子で、GS以外に光誘導される遺伝子が見つかれば、それらに共通する構造上の特徴が研究できるものと考え、differential hybridization法により、その検出を行なった。その結果、コロニー約1000に対し1個の割合で、光条件でのみ検出できるクローンを少なくとも数個分離することができた。現在、それらの性質を調べている。
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