研究概要 |
オジギ草及び就眠運動を行なうマメ科植物のバイオリズムに関与している生理活性物質の単離を試みた結果,カワラケツメイ(Cassia mimosoides L.)及びハブ草(Cassia occidentalis L.)の活性物質の構造を明らかにすることが出来たので以下に報告する。 カワラケツメイ全草の熱水抽出物をオジギ草を用いた活性テストを指標にして,各種クロマトグラフィーを用いて分離し,白色粉末の活性物質を単離することに成功した〔'H-NMR(【D_2】)δ7.08(s);IR(Nujol)1650(sh),1635【Cm^(-1)】; 【^(13)C】-NMR(【D_2】)δ119.0(d),162.4(s),167.8(s),187.7(S)〕.この物質はイオンクロマトグラフィーを用いた分析の結果,カリウム塩の形で存在していることが判明した。そこで,イオン交換樹脂を用いてカリウムを除去した後,高分解能質量スペクトルを測定したところ,【C_7】【H_4】【O_6】の分子式を与え,これより1分子中に2個のカリウムを含んでいることがわかった。以上の結果より、カワラケツメイの就眠運動に関与している活性物質はケリドン酸のカリウム塩であると推定され,合成によりその構造を確認することが出来た。また、本物質はハブ草からも単離され、活性テストの結果、ハブ草の活性物質であることも明らかとなった。ケリドン酸のカリウム塩は、天然物及び合成品とも、オジギ草に対しては【10^(-4)】〜【10^(-5)】g/l,カワラケツメイとハブ草に対しては【10^(-2)】〜【10^(-3)】g/lの濃度で活性を示し、昼間でもカワラケツメイの葉を閉じさせることを確かめた。 また,オジギ草については,ドイツの化学者により既に報告されている物質よりも【10^4】〜【10^5】倍強い活性をもつ刺激伝達物質を単離することに成功しているが、超徴量のため構造決定に至っていない。現佐、さらに多量の刺激伝達物質を単離すべく、分離を急いでいる。他方、メドハギから葉を開かせる活性物質の単離にも成功している。
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