研究課題/領域番号 |
61230003
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石井 信一 北海道大学, 薬学部, 教授 (90001031)
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研究分担者 |
有坂 文雄 北海道大学, 薬学部, 助手 (80133768)
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キーワード | バクテリオファージT4 / 収縮性尾鞘 / 尾鞘蛋白質 / アンバー変異 / アンバーサプレッサー / ウエスタンブロッティング / ドメイン / 塩酸グアニジン変性 |
研究概要 |
上記の課題について得た成果を以下項目別に報告する。 1)アンバー部位へのアミノ酸残基の挿入:大腸菌sul(Ser)株で選択された遺伝子18に変異のある17株のT4アンバー変異株を、sull(Gln)及びsulll(Tyr)株大腸菌に感染させた処、多くの場合(10株)いずれのサプレッサー株でもサプレスされたが、3株ではsullでのみ、他の3株ではsulllでのみサプレスされ、1株(E646)ではいずれのサプレッサーでもサプレスされなかった。今後、各T4アンバー株の変異部位を正確に決定することによってアンバー部位のアミノ酸残基の構造上、機能上の役割を検討する手がかりとしたい。2)プロテアーゼ抵抗性領域のマッピング:gp18をインタクトな状態でトリプシン消化し、生じた27K断片をSDS-PAGEによって単離した後、アミノ酸分析及びペプチドマッピングを行なうことによって、同断片はlle115からLys316までを含むことが分かった。この27K断片でウサギを免疫することによって抗体を得た。この抗体を用いたウエスタンブロッティングで染色することにより、トリプシン消化の中間体として一時的に現れる62K及び31K断片はいずれも27K断片を含むこと、またリシルエンドペプチダーゼによって得られる42K及び31Kについては後者が強く染まることから、前者がC末端側、後者は27K断片の大部分を含むN末端側であることが明らかになった。3)塩酸グアニジン変性:gp18はpH9.0で塩酸グアニジンにより可逆的な3状態変性(2段階変性)を示す。222nmにおける残基楕円率を指標として上記トリプシン消化断片の変性をモニターした処、この変性は元のgp18における全変性の80%を占める第1段階の変性に一致した。トリプシン抵抗性断片は、全αヘリックスの75%を含み、上記の80%という値に近いことから考えて、Gu・HCLではむしろ変性しやすい方のドメインである可能性があるが、今後の検討を要する。
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