研究概要 |
今年度は、水前寺のりのフェレドキシンの2.5【A!°】分解能での構造精密化とスギナのフェレドキシンエの構造決定を中心に実施した。 水前寺のりのフェレドキシンの構造精密化は、Hendricson-Konnertの方法による最小自乗法と電子密度への原子座標への重ね合わせとを組合わせて行った。最小自乗法による精密化は原著者によって作成されたプログラムを空間群【P4_1】用に変更して行った。電子密度は非結晶学的対称操作による等価な4点を平均して得られたものを用いた。これと原子座標への重ね合わせは、マイクロコンピューターPC-9801用に作られたプログラムを用いて行った。現在25【A!°】分解能でR値(R=Σ1Fo+Fcl/Σ1Fo1)は0.27である。なおこの精密化は分解能を2.2【A!°】に上げて進めている。 スギナのフェレドキシン【I】については、1.8【A!°】分解能までデータ収集を終えることができ、今までに知られているフェレドキシンでは最も高分解能のデータを得た。このNatiue結晶の強度データをもとに、既に構造の知られている水前寺のりのフェレドキシンの構造を初期モデルにして、結晶中での分子の配向の決定を行った。なお結晶中での分子位置の決定には低分解能でのバイフット差(OF=F(hkl)-F(h´k´l´))の2乗を係数とするパターソン関数を用いた。分子配向の決定にはR-factor search法を用いた。その結果結晶中での分子パッキングも良いものを見出すことができた。これにもとづいて高分解能の解析を進めようとしている段階である。 今までに我々が行ったスピルリナ,水前寺のり,スギナのフェレドキシンの構造解析結果から、活性中心をはじめ、主鎖の構造は共通性が高いことが明らかになった。又1ケ所あるα-ヘリックスもすべての構造に共通しており、かつ二次構造予測ではα-ヘリックになりやすいものが集っている。
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