研究課題/領域番号 |
61231021
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山鳥 崇 神戸大, 医学部, 教授 (70003374)
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研究分担者 |
杉岡 幸三 神戸大学, 医学部, 助手 (90112127)
梅谷 健彦 神戸大学, 医学部, 助教授 (90107946)
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キーワード | 条件反応 / 2デオキシグルコース法 / 海馬歯状回 / 皮質第24野 / 分子層 |
研究概要 |
体重約250grの雄のウィスター系のラットを用いて有害条件づけを行った後、〔【^3H】〕2-Deoxyglucose(〔【^3H】〕2-DG)1mCiを与えて条件刺激のみに反応させ、その途中でこの動物を殺して脳を摘出し、ミクロオートラジオグラフを作製するという方法で、大脳皮質の歯状回および第24野における細胞レベルでの2-DGのとり込み場所を検討した。オートラジオグラフの作製にはthaw mount法を用いた。露出は3週間であった。検討した部位を上記の2箇所にしたのは、今までの〔【^(14)C】〕2-DGを用いたマクロオートラジオグラフィーの結果に基づいたものである。顕微鏡観察の結果は、両部位でほぼ同様であった。第24野において〔【^3H】〕2-DGの顕著な標識が見られたのは分子層の外側部であった。また第2層の外顆粒層では標識がやゝ疎と思われた。第3層では第2層よりも標識がやゝ密と思われたが第1層の分子層外側部ほどではなかった。第4層以下は明瞭に区別出来なかった。一般に細胞体の密集しているところは〔【^3H】〕2-DGの分布が疎に見えた。歯状回においても第24野と似た標識状態が見られた。すなわち分子層での標識はやゝ密に思われ、細胞体の集まっている顆粒層での標識はやゝ疎と思われた。Hilus of fascia dentataと呼ばれる層での標識はやゝ密と思われた。このような所見から条件反応時の2-DGの取り込みのより多い場所は、神経細胞の細胞体よりも突起の部分ではないかと思われた。Sokoloffらによって〔【^(14)C】〕2-DG法が脳内の局所グルコース代謝を見る方法として発表されて以来、多くの実験がされてきたが、この方法は解像力が悪いという欠点を持っていた。今回我々はβ線の飛距離の矩い【^3H】をつけた2-DGを用いる方法で大まかな細胞レベルでの条件反応時のグルコースの取り込み部位を検索した。しかしながら実験はまだ始まったばかりである。正確な結果を得るためにはなお実験の繰り返しが必要である。
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