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1986 年度 実績報告書

血管壁で産生されるPAFの動態と役割

研究課題

研究課題/領域番号 61232004
研究機関東京大学

研究代表者

井上 圭三  東大, 薬学部, 教授 (30072937)

研究分担者 梅田 真郷  東京大学, 薬学部, 助手 (10185069)
小林 哲幸  東京大学, 薬学部, 助手 (50178323)
工藤 一郎  東京大学, 薬学部, 助教授 (30134612)
キーワード血小板活性化因子 / PAF / 血管内皮細胞 / リン脂質代謝 / ホスホリパーゼ / TNF / アセチルハイドロラーゼ
研究概要

本研究では、血小板活性化因子(PAF)の血管内での代謝,動態を探ることにより、血管系の構造や機能の恒常性維持、更には血管病変におけるPAFの果たす役割を解明することを目的とする。本年度は、ブタ大動脈血管内皮細胞における脂質分析,脂質代謝に関する酵素活性及びPAF産生量を測定し、以下の様な基本的知見を得た。1.ブタ内皮細胞のリン脂質分析:一般に、PAF生合成前駆体の一つはアルキルアシル型コリンリン脂質であると考えられている。ブタ大動脈血管内皮培養細胞のリン脂質分析の結果、本前駆脂質が全リン脂質の6.3%存在した。また、アラキドン酸も同一の前駆脂質から供給されるという仮説が他の細胞で提唱されているが、内皮細胞の場合、本前駆体中のアラキドン酸量は【10^7】細胞当り1nmolと比較的少量であった。2.内皮細胞のホスホリパーゼ活性:無刺激のブタ内皮細胞ホモジネート中には、ホスホリパーゼ【A_1】及び【A_2】の両活性が存在した。PAF合成に関与すると思われる後者の比活性は約50pmol/min/mg蛋白質であった。また、PAFの分解酵素であるアセチルハイドロラーゼ活性も有意に認められたが、ホスホリパーゼC及びD活性は検出されなかった。3.内皮細胞によるPAF産生:ブタ内皮細胞は、無刺激ではPAFが検出されなかったのに対し、トロンビン刺激により0.4pmol/【10^6】細胞のPAF産生が認められた。また、Tumor Necrosis Factor(TNF)存在下、2時間後で有意なPAF量(トロンビン刺激の数倍)が検出された。
以上の知見をもとに、今後さらに(1)合成されたPAFの細胞内外の分布・存在様式,(2)PAF産生に関与する酵素活性の各種刺激による変動,(3)内皮細胞と各種血球との相互作用におけるPAFを介した活性化,(4)動脈硬化症における泡沫細胞形成におけるPAFの関与等について検討して行きたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 張げんきょう,工藤一郎,原俊太郎,唐沢健,井上圭三: J.Biochem.100. 1099-1101 (1986)

  • [文献書誌] 堀込一彦,早川磨紀男,井上圭三,野島庄七: J.Biochem.101. 53-61 (1987)

  • [文献書誌] 堀込一彦,早川磨紀男,井上圭三,野島庄七: J.Biochem.101. 625-631 (1987)

  • [文献書誌] 小早川真弓,井上圭三: THROMBOSIS RESEARCH. 41. 649-657 (1986)

  • [文献書誌] 林秀敏,工藤一郎,井上圭三,小野崎菊夫,津島進,野村容朗,野島庄七: J.Biochem.97. 1737-1745 (1985)

  • [文献書誌] 林秀敏,工藤一郎,井上圭三,野村容朗,野島庄七: J.Biochem.97. 1255-1258 (1985)

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公開日: 1988-11-10   更新日: 2016-04-21  

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